ダライ・ラマ14世をめぐり起こった反仏デモ

ダライ・ラマ14世をめぐり起こった反仏デモ

不買暴動で閉店した大連のカルフールとKFC(2008年4月19日撮影・大連在住者提供)

ダライ・ラマ14世をめぐり起こった反仏デモ

 韓国で官民挙げての日本製品不買運動の異常な光景を連日見ていると、中国で起こったある不買運動を思い出す。
 
 2008年4月、北京オリンピックの年の春にダライ・ラマ14世へパリ市が名誉市民の称号を授与するなどで、中国はフランスに対する反発を強めていた。

 さらに中国各地で展開していたスーパーマーケット「カルフール」のフランス本社がダライ・ラマ14世を支援しているという情報が流れて、反仏運動からカルフールへの不買運動へと発展した。

 2008年当時、中国にカルフールは122店あったが、店の前には、抗議する人が殺到し、入店する利用者を罵倒したり、投石したりの行動が暴動へとエスカレートしたため営業休止を余儀なくされた。

一度も反日デモが起こったことない大連でも

 中国の直轄市、省都、副省都の含めて唯一反日デモが発生したことない遼寧省の大連でもカルフールへの不買暴動が起こったくらいだ。

 中国に滞在する日本人に対してカルフールへ近づかないようにと日本大使館を通じて各会社や留学生などへ通知された。

 中国のカルフールは、単独店舗で営業していることはなく、大型商用施設やビルへテナントして入っていることが多かったため、同じ建物内の他店へも不買運動という名の攻撃、暴動が波及し営業できずにいた。

 ひどいのは、「マクドナルド」や「KFC」、「吉野家」などフランスとは無関係の外資系FC店も標的にされ投石や落書き、放火などが起こり一般の中国人のストレス発散に転嫁されていたのではと思われるくらいの蛮行を繰り返した。

暴動扇動は中国政府関係者?民間人主導の不買運動?

 当時、理性的な中国人は、カルフール入口前で大きな中国国旗を振りかざしたり、盛んに投石しているのは、中国政府関係者、またはそれに近い人間だと指摘していた。もし、一緒に参加すると、実は、しっかりと監視されており、後々突っ込まれる「理由」にされるから絶対に参加しないようにと知人の中国人や日本人たちへ伝えていた。

 不買暴動発生時の中国官製メディアには、今も同じ手段を用いるが、「中国国民の民衆の怒り、民意であり、政府は止めることができない」と主張していたが、裏で政府が煽り、先導していたカルフール不買運動という名の官製暴動だった側面が強いと思われる。

 後に起こる、2012年、尖閣諸島の日本政府による国有化に端を発して発生した大規模な反日暴動。2017年、韓国への終末高高度防衛(THAAD)ミサイル配備に対して起こった「ロッテマート」への反対暴動は、最盛期99店舗あったロッテマートを全撤退という自体へ発展させている。

(続く)


4月21日,家乐福CEO”事态严重”中国不买运动(日本NNN报道)

 最初、中国の動画投稿サイトで探したが、中国政府にとって都合が悪いのか関連動画を一切見つけることができなかった。この動画は中国の動画サイトへ投稿されたものがユーチューブへアップされたものと思われる。

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