韓国や日本の車両が採用されるタイ国鉄の路線

韓国や日本の車両が採用されるタイ国鉄の路線

タイに到着したばかりのDD51。タイ国鉄とJRは線路の幅が違うため、車輪部分の改修が必要だった(画像提供 木村正人)

 タイ国有鉄道はこれから消えゆく存在なのかもしれない。日本のように国内を縦横無尽に路線が張り巡らされているわけでもなく、1894年の開業から100年以上が経っているにも関わらず、開業当初とあまり変わらない環境、特に高速化や時刻表通りの運行の妨げにもなる複線化が進んでいない。2018年時点で、タイ国鉄の総敷設距離は4044キロメートルで、このうち複線化は250キロメートル程度、つまり国鉄線路のわずか6パーセント程度でしかない。

 そこで現在、タイ国鉄は生き残りもかけ、複線化計画を進めている。数年前からはラオスを経由して中国の昆明まで高速電車の路線を開通させる計画があるほか、北部チェンマイなど各方面に新幹線並みの高速路線を導入したいと考えている。そのための第一歩としても重要なのが、複線化計画の成功だ。タイ国鉄は2022年までに総距離4832キロメートルまで延長させ、そのうち65パーセント超の3157キロメートルを複線化したいと考えている。

 そんなタイ国鉄はタイ製のオリジナルの車両は少なく、特に客車などをけん引する機関車は欧米や中国、日本製が多い。客車には韓国製も少なくなく、寝台列車の一部は韓国製のものである。韓国や日本など、世界の車両メーカーがタイ国鉄に関わっていると言える。

退役したDD51がタイ国鉄の複線化工事のためにタイへ

退役したDD51がタイ国鉄の複線化工事のためにタイへ

すれ違い用に駅前が複線になっていることはあるが、本線が単線というところが多い

 タイ国鉄の複線化計画はタイ国鉄だけでなく、国内のインフラ会社も参加している。担当企業である「A.S.ASSOCIATED ENGINEERING社」(以下AS社)はこの複線化にあたり、ジェイアール(JR)北海道から「DD51形ディーゼル機関車」を導入した。

 DD51は、1962から1978年に649両が製造され、特にJR北海道では「北斗星」や「トワイライト・エクスプレス」、「カシオペア」といった寝台特急、あるいは夜行急行の機関車として鉄道ファンから絶大な人気を得ていた車両だ。退役したDD51のうち1137号、1142号の2両が2018年9月ごろにタイに売却され、バンコクから西に向かったノンプラドゥック駅に隣接するAS社の車両基地に到着した。ここは太平洋戦争時に日本軍が敷設した、映画「戦場にかける橋」で有名な泰緬鉄道の起点となる駅だ。今後、DD51がタイ国鉄の複線化工事に活躍する見込みとなった。

DD51の性能を発揮させるための技術者がいない

 しかし、問題が持ち上がっている。このDD51はJR北海道が直接ではなく、おそらく商社などを経由してAS社に売却されている。そのため、契約上になかったのか、JRから技師は派遣されず、車両とマニュアルが渡されただけとなっている。

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