同型車両は数年前にミャンマー国鉄にも売却され運用されていることから、仲介者からミャンマー国鉄の技師はAS社に来て指導はしてくれたようだ。とはいえ、日本の正式な運用技術ではないので不安が残る。

 しかも、タイ国鉄の計画では2019年12月、あるいは年始早々にはDD51を運用しなければならない。ほかにもAS社が複線工事用の車両を有してはいるものの、DD51が使えないのは不便極まりない。
 

日本の鉄道ファンが立ち上がってDD51ディーゼル機関車の技術者を呼びたい

日本の鉄道ファンが立ち上がってDD51ディーゼル機関車の技術者を呼びたい

カラーはAS社の色になっているが、偶然JR北海道時代の色合いに似ているので、オリジナルに見える(画像提供 木村正人)

 そんな状況だったが、AS社もこの状況を改善する術を知らなかったし、公表する場所もない。これをいち早く察知したのがタイ在住の木村正人氏だった。偶然SNSでAS社にDD51が入ったことを知り、ノンプラドゥック駅に見に行ったことがきっかけだ。この事情を含めて木村氏が運営するユーチューブチャンネル「鉄道タイランドCH」に上げたところ、九州の鉄道ファンクラブ「長崎きしゃ倶楽部」を主催する鉄道ファンの吉村元志氏が「すぐに行きます」と、本当にタイにやって来た。

 そして、吉村氏の訪タイ時にDD51ディーゼル機関車の試運転をAS社が実施し、その様子を再度木村氏が動画サイトにアップした。これが日本でDD51を運用していた技師の目に留まり、吉村氏の知り合いであったことから連絡が入った。しかし、その連絡は「安全に運行できる状況ではない」というもので、AS社はせっかくDD51を入手したが、正しい運用方法がまだつかめていない状態が改めて浮き彫りになった。

 そこで吉村氏が中心になり、タイの鉄道の発展のため、そしてDD51が正しく安全に運用されるようにとクラウドファンディングを立ち上げるにいたった。

DD51の技術継承のための資金250万円をクラウドファンディングで

 DD51を知り尽くした日本の整備士と運転士をタイに送り込み、AS社に技術を継承しようというプロジェクトで、2019年10月末を締め切りに、目標は250万円としている(第1目標の150万円は10月頭に達成済みのため、現状第2目標を設定)。

 AS社側も、木村氏や吉村氏のほか、たくさんの日本人鉄道ファンの訪問を受け、いかにDD51が愛されてきたかを知り、また彼らも大切にこの機関車を使っていこうとしている。

 木村氏や吉村氏は、タイ国鉄の関係者ではないが、AS社の職員たちのDD51への愛着を目の当たりにしているので、立ち上がらずにいられなかった。今、まさに日本の技術が詰まったディーゼル機関車の運命がタイで動こうとしている。興味がある方は下記のURLにて。

タイのDD51北斗星色を支援して両国の友好の星にしたい(クラウドファンディングサイト)

 タイ国鉄は、日本や韓国、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、中国などから新車の車両を輸入しており、中古車両では日本、オーストラリアからも輸入している。近年、新車では中国製の車両導入が増えている。

 タイ国鉄の路線は、非電化のため動力車が必要となっており、気動車では、韓国車両メーカー大宇重工業製が導入されいる。また、客車や貨車などは、現代ロテム製や韓進重工業製など韓国企業の車両も導入され目にすることができる。

高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在に至るまでバンコクで過ごしている。
バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレス
@NatureNENEAM

高田氏や監修者の丸山ゴンザレス氏や4人で繰り広げられるトークイベントが2019年10月11日に開催。アジア最凶怪談トークバトル! 高田胤臣×丸山ゴンザレス×高野秀行×室橋裕和!

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