内容は「日本は、イランに対しては石油があるため優しくし、一方で北朝鮮に対しては現実的な脅威であるから厳しく接している」ことから、「統合失調症のように政策がばらばらで一致していない」というものである。
この点、ボルトン氏は「北朝鮮もイランも同じく脅威であり、両者に対して厳しい姿勢を示すべき」と考えており、日本に説得する必要があったと記している。
とは言え、それ以外では日本に対する批判はほとんどない。
ボルトン氏がいなくなった米朝交渉はどうなるのか?
ボルトン氏がいなくなった米朝交渉はどうなるのか?
上記の回顧録の内容が真実かはともかく、少なくともボルトン氏が対北政策について安倍首相や日本政府と考えを近くし、韓国とは相いれなかったこと自体は間違いないと言える。
回顧録を読むと、トランプ大統領と異なってボルトン氏は北朝鮮の非核化意思をまったく信用していなかったし、強硬姿勢を崩そうとしていなかったことがよく分かる。
米国陣営は当然一枚岩ではなく、ボルトン氏を含めて強硬派の高官がいたことを考えると改めて外交の難しさを感じる。
現在、ボルトン氏は米朝交渉の舞台から姿を消したが、このことが停滞する米朝対話にどう影響するかは未知数である。
今年11月の米大統領選前にトランプ大統領が対話に動き出す可能性もあるため、動向を注視したい。
八島 有佑