オットー・ワームビア氏の両親がメッセージ参加

オットー・ワームビア氏の両親がメッセージ参加

シンポジウムへビオでメッセージを寄せたワームビア夫妻

オットー・ワームビア氏の両親がメッセージ参加

 北朝鮮による日本人拉致問題解決を目指す政府主催のシンポジウムが12日に「イイノホール」(東京都千代田区)で開催された。

 今年は新型コロナウイルス感染対策で会場席数を制限し、ホール内の別会場と分散したり、オンライン配信されるなど例年とは異なるシンポジウムとなった。

 第2部の拉致事案等の被害者御家族からの「生の声」の訴えには、2017年6月に北朝鮮から昏睡状態でアメリカへ帰国し6日後に死亡したオットー・ワームビア氏の両親であるフレッド・ワームビア氏とシンディ・ワームビア氏がアメリカからビデオメッセージで参加した。

北朝鮮へ10億ドルの国家訴訟を起こし5億ドルの支払い命令

 ワームビア夫妻は、ビデオメッセージの中で、トランプ政権になった2017年11月に解除されていたテロ支援国家へ北朝鮮を再指定することに成功するなどの夫妻の活動内容を紹介する。

 2018年4月に北朝鮮に対して10億ドル(約1040億円)の賠償を求める訴訟をワシントン連邦地裁へ起こし、同年12月、連邦地裁は北朝鮮に対して5億100万ドル(約521億円)の支払いを命じている。

 しかし、支払いを命じたものの北朝鮮の資産差し押さえは困難とみられた。そこで、ワームビア夫妻は、2019年5月に北朝鮮が国連制裁に違反して石炭運搬に使用していた貨物船「ワイズ・オネスト」をアメリカ政府が差し押さえた際に賠償金支払いに使えるように訴訟を起こす。同貨物船は朝鮮人民軍傘下の企業が所有する北朝鮮で2番目に大きな貨物船とされる。さらには、ドイツの首都ベルリンの北朝鮮大使館が大使館の建物を使って実質運営していたホテルの営業停止を求めて働きかけ、今年5月末に完全閉鎖が確認されている。

 ワームビア夫妻は、日本でも北朝鮮に対し国家訴訟を起こしたり、北朝鮮の資産差し押さえはできると訴え、夫妻は「北朝鮮政府へ圧力をかけて追い詰めていくための協力は惜しまない」と聴衆へ呼びかけた。

拷問か?自殺未遂か?異なるオットー氏の死因見解

 ワームビア夫妻はユダヤ教徒(シンディ・ワームビア氏がユダヤ人)で、世界中のユダヤネットワークも活用している。当然、死亡したオットー・ワームビア氏もユダヤ人でユダヤ教徒となる。

 その一方でオットー・ワームビア氏の帰国時の状況や死因についてはアメリカ国内でも相違が見られいまだにはっきりとしていない。

 ワームビア夫妻側は、北朝鮮による拷問によって昏睡状態となった主張するが、オットー・ワームビア氏の死に立ち会った検死官は、オットー氏には肉体的な拷問の痕跡は確認できない。脳の深刻なダメージは自殺を図った後遺症の可能性もあるとの見解を示している。

 この点、北朝鮮は公式に説明も反論もしていないので不明確なまま時が流れている。
 

疑問が残る拘束理由

 オットー・ワームビア氏の拘束される理由については本人が2016年2月29日の記者会見で告白した内容に疑問を投げかける専門家も少なくない。
 
 北朝鮮側の説明では、オットー・ワームビア氏は、関係が深いプロテスタント教派の教会から金銭的な報酬を持ちかけられて教会からの依頼を受けたとなっているが、前述のようにワームビア家はユダヤ教徒の家である(ワームビア家がユダヤ教徒であることは拘束発覚当時は北朝鮮を刺激しないように伏せられていた)。そうすると前提自体が異なっていることになる。オットー氏の北朝鮮での当時の拘束状況や別説については機会を改めて紹介したい。

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