国連制裁に抵触する北朝鮮の外貨稼ぎ

国連制裁に抵触する北朝鮮の外貨稼ぎ

南ドイツ新聞の本社があるミュンヘン

北朝鮮がベルリン中心部で堂々外貨稼ぎ 1泊約1400円から空き部屋ない人気 当局は圧力強化、近く廃業も(1/2)の続き。

 この制裁決議は2017年9月3日(現地時間)に出された。北朝鮮による6回目の核実験に対して、石油の供給規制、北朝鮮からの繊維製品の輸入禁止、北朝鮮籍の海外労働者に対する新規雇用の禁止など、過去の制裁決議よりも格段に強力な内容が含まれている。北朝鮮経済に致命的な影響を与えているとされる「スーパー制裁決議」である。

 この決議の18項に、「すべての加盟国が、その領域内において北朝鮮が所有しまたは賃貸している不動産について、外交または領事活動以外のいかなる目的での使用も禁止することを決定する」と書かれている。

 つまり、大使館内で一般向けの宿泊施設を営業するという常識外れのビジネスをしている駐独北朝鮮大使館に、ぴったり当てはまる条文なのだ。

 北朝鮮側もドイツ政府から、ホステル閉鎖の圧力をかけられているようで、昨年2月にEGI GmbHに建物からの立ち退き命令申請を地元の州裁判所に行った。

賃貸料500万円でブランド品を購入?

 ここから不思議な展開となる。

当の北朝鮮大使館側が、手続きに必要となる裁判費用を支払わないため審議が行えず、宙ぶらりんになったまま。ホステルも相変わらず営業を続けている。どうやら、立ち退きを迫る振りをし、時間稼ぎをしているようなのだ。

 このホステルは、ソビエトスタイルの無機質な外観のビルの中に約100の客室があり、435台のベッドを備える。部屋にはシャワーとトイレもある。ホステル側は、大使館に対して賃借料として毎月約4万ユーロ(約500万円)を支払っているという。

 500万円なんて、1つの国家にとっては大きな額ではないと思うかも知れない。しかし、関係者によれば、北朝鮮はこの収入で欧州のブランド時計や万年筆などを購入し、幹部に渡して忠誠心を高めているという。「オメガ」の腕時計、「モンブラン」の万年筆、「ルイ・ヴィトン」あたりだろうか。もらえるものなら、私だって欲しいくらいだ(もちろん冗談だが)。
 
 残念ながら、この記事を目にしたのは、ベルリンを出発した後だったので、私は当のホステルに行けなかった。『南ドイツ新聞』によれば、若い旅行者たちは、ホステルが北朝鮮経営だろうがお構いなしだという。価格の安さは何よりの魅力だ。


Cityhostel Berlin – Hier kann man günstig direkt im Zentrum von Berlin schlafen!
 ホステル公式動画では、ホステル内の施設や客室、ベルリンの周辺観光地について紹介されている。

 業を煮やしたドイツ政府は、営業中断のため、あらゆる手段をとる考えを示している。米国の対北朝鮮放送である「自由アジア放送(RFA)」によれば、ドイツ政府はすでにホテル側に国連制裁違反があるとして、罰金10万7千ユーロ(約1260万円)、ホテルの幹部に5千ユーロ(約59万円)の罰金を科している。さらに北朝鮮大使館は、ホテルの収入に対する税金も滞納しているという。

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