一般のインフルエンザとコロナを区分できない可能性も。敵がウイルスをまき散らそうとしている…

一般のインフルエンザとコロナを区分できない可能性も。敵がウイルスをまき散らそうとしている…

『労働新聞』(1月31日付)が掲載した平壌市内での消毒作業(提供「コリアメディア」)

 北朝鮮が流行を防ぐため中国との国境を封鎖してから1年が経った。いまだに患者はゼロだと主張しているが、疑問視する専門家は少なくない。改めて北朝鮮国内の医療の実情や国境封鎖の現状、ワクチンへの対応を3回に分けてまとめてみた。

1万人検査でもコロナゼロの不思議

 世界保健機構(WHO)が最近、発表した「コロナ国家別状況報告書」によれば、北朝鮮は昨年12月17日までに累計1万1707人に対する新型コロナウイルスの検査を行ったが、このうち感染が確認された事例はなかった。

 北朝鮮で検査を受けた人のうち約半分の4275人は、重症の急性呼吸器感染症やインフルエンザに似た疾患、また、発熱があった(韓国「聯合ニュース」2021年1月1日)。これでコロナではないというのが信じがたいが、1月末時点でも患者はゼロのままだ。

 新型コロナウイルスは、北朝鮮に入っていないと考えるべきなのだろうか。

コロナを防げない貧弱な医療体制

 北朝鮮の『労働新聞』は、コロナ関係の報道を続けており、国内でも関心が高いことを示している。しかし、北朝鮮では、コロナを診断するための装備と試薬が十分になく、一般のインフルエンザとコロナを区分できないのではないかという脱北医師たちの証言もある(2020年10月9日『東亜日報』)。

 東亜日報が伝えた証言によれば、感染症患者の治療ができる医療施設は、平壌の権力層が利用する病院しかない。感染症専門の隔離病院もない。つまり一般の人は治療を受けられないのだ。

 コロナの検査キットはロシアなどから入手しているというが、どの程度使われているかはよく分からない。

発熱後に市場に行くケースも

 病院はなくとも伝染病患者は自宅でゆっくり療養すればいい、と考えるかもしれない。脱北者の証言によれば、地方では、自宅療養は守られないでいるという。住民たちは生きるために、たとえ高熱があっても農民市場の市場に出て働くしかない。市場の入り口には、消毒液が用意され、人々はマスクをつけているというが、どこまで効果をあげているか不明だ。

 治療薬の生産不足も問題だ。抗ウイルス薬は北朝鮮国内にあると報道されている。しかし、コロナ向けのものではない。

 こういう難しい状況でも、自尊心のため韓国をはじめとした海外からの医療援助は受け入れようとしない。北朝鮮国内の事情に明るい脱北者の1人は、受け入れ拒否の理由について、住民に向け、韓国を含め、外国の敵対勢力が、我が国にウイルスを伝播しようとしていると教育してきたと説明する。「いまさら外国からの支援を受け入れられないのです」と話した。

 北朝鮮は2003年、中国で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)も、患者は発生しなかったと発表している。

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