世界の感染者数8200万超えの中で感染者0人の北朝鮮
世界の感染者数8200万超えの中で感染者0人の北朝鮮
北朝鮮にとって2020年は他国と同様、新型コロナに振り回される1年となった。
北朝鮮は新型コロナ対策のため1月22日以降、国境を封鎖してヒト、モノの流れを制限した。
観光や貿易がストップしたことで外貨獲得の手段を失い、国連制裁と相まって経済状況は著しく悪化しているとみられる。一方で、経済を犠牲にした成果なのか北朝鮮は現在も「感染者0人」と「世界保健機関(WHO)」に報告している。
WHOは12月に公表した報告書の中で、「北朝鮮では12月10日までに合計1万960人に対し新型コロナの検査を実施したが、このうち感染が確認された事例はなかった」と説明した。検査を受けたうち約半数は、「重症な急性呼吸器感染症とインフルエンザ類似疾患だった」とのことである。
その上で、「北朝鮮では12月3日までに累計3万3223人の『感染疑い』の隔離対象者が、結果的に『非感染』であったとして隔離解除された」旨を伝えている。
12月30日時点で世界の感染者数が8200万人超えとなる中、感染者ゼロは北朝鮮以外にトルクメニスタンなど数か国しかない(WHO報告値)。
感染者ゼロに疑いを向けた韓国外交部長官を金与正氏が非難
北朝鮮の感染者ゼロ発表に疑いを向けたのは韓国だった。
康京和外交部長官は12月4日、バーレーンで開催された国際会議で、「北朝鮮が依然として、『新型コロナウイルス感染者は発生していない』と主張しているが、信じがたい」、「北朝鮮は韓国の新型コロナ関連の支援提案に無反応」などと述べたのだ。
これに反応したのが金正恩委員長の実妹の金与正党第1副部長である。
金与正氏は同8日の談話で、「我々の非常防疫措置を差し出がましく批評した」と前置きした上で、「凍りついた北南関係にさらに冷気を吹き込みたい様子だ」、「我々はいつまでも(受けた非難を)記憶するであろうし、おそらく正確に清算されるべきであろう」と非難した。
南北対話がこう着する中において、韓国の出方によってはさらに南北関係が悪化する可能性があると警告したのだ。
文在寅政権では南北対話を重視した人事がなされていることから、韓国紙『朝鮮日報』(12月10日付)が「金与正に名指しされた康京和もすぐ更迭か」という社説を掲載するなど、康京和氏の去就に注目が寄せられている。
防疫段階を最高レベルに引き上げ
さて、感染者の有無にかかわらず、北朝鮮では新型コロナへの警戒を緩めるどころか一層強化している。
国営メディア「朝鮮中央放送」は12月2日、「防疫段階を『超特級』に引き上げた」と報道した。