国境地帯を走る北朝鮮の貨物列車。石炭らしきものを満載している

北朝鮮に本当にコロナ患者はいないのか?(1) 国境警備とゼロ主張の続き。

 昨年の夏、金正恩総書記が、7月2日に防疫強化を指示したあとには、車両の往来はほとんどなくなっているという。

 中国の税関当局が発表した昨年の中朝貿易規模を見ると、3月に前年同期比91.3%減の1864万ドルに減少した。6月には9680万ドルまで持ち直したが、11月には再び127万ドルに急減した。貿易はほぼ停止状態とみていいだろう。

砂糖や調味料が値上がり。貿易は30年前に逆戻り

 韓国国情院の報告によると、北朝鮮では物資が不足し、砂糖や調味料の価格が1年で4倍以上となったという。

 金正恩政権は海水が新型コロナウイルスに汚染されたと恐れ、近海での漁業と塩の生産を禁じた。中国が支援したコメ11万トンも感染を恐れて受け取りを拒み、中国・大連港に積み残されたままとなった。

 外貨も不足しているようで、市場での外貨取引が禁止された。為替レートの急落の責任を取らせ、平壌の「大物両替商」を処刑したという。常軌を逸したと思えるような事ばかりだが、いずれも韓国国情院の正式な報告だ。

 平壌駐在の外交官や華僑も、たまらず国外に出ている。貿易総額は90年代の水準まで落ち込んだとみられている。

観光は壊滅状態

観光は壊滅状態

19年12月8日付・労働新聞に掲載された金正恩氏出席の竣工式と陽徳温泉文化休養地全景(提供 コリアメディア)

 北朝鮮は、昨年1月22日、外国人対象の団体観光の受け入れを中断し、1月28日には外国人のビザ発給を停止し、旅客列車の運行まで止めてしまった。

 最大の観光商品は、首都平壌に近い、平安南道にある「陽徳温泉文化休養地」だった。2020年1月にオープンした。

 源泉の温度は、80~85度もある。またスキー場も併設されており、スキー、ショートスキー、ソリ、スノーバイクなどを楽しめる。これらの施設を取り囲むように7棟の旅館と自炊型の宿泊施設群がある。宿泊施設の収容能力は約2千人だという。

 金正恩総書記は、建設中の現場を7回も訪れ、竣工式にも参加してテープカットを行うなど、並々ならぬ関心を寄せていた。

 韓国の政府系シンクタンク・対外経済政策研究院(KIEP)は、北朝鮮が2019年に、過去最大の約26~30万人の海外観光客を誘致したと推定している。この90%は中国人だったという。観光収益は9600万~1億800万ドル(約100億7000~113億円)との見方もある。立派な収入源だ。

 中国は、資本主義経済が浸透し、貧富の差が拡大している。北朝鮮は、社会主義を固持し貧しいままだが、格差は、中国ほどは目立たない。中国人は、そんな「昔の中国」の姿に郷愁を感じるのだ

 しかし、コロナで陽徳温泉を訪れる中国人はゼロになった。正恩氏が肝いりで進めた海岸都市・元山のカルマ海岸観光地区も工事が中断し、開業のメドが立っていない。

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