「中国製の接種を希望する日本人も台湾人もいない」

「中国製の接種を希望する日本人も台湾人もいない」

台北上空を飛行する全日本空輸の旅客機

「中国製の接種を希望する日本人も台湾人もいない」

 日本が台湾へ提供したアストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンについて、「台湾在住の日本人は中国製ワクチンを打ちたい」などと日本の週刊誌ウェブサイトが10日報じている。

 記事によると、「日本政府は余りもののアストラゼネカ製ワクチンを送ってきている」と野党・国民党から批判が上り、実は大陸接近地域の台湾国民は、密かに中国で接種を受けている。我々日本人も中国製ワクチンを打ちたいのが本音だと台湾駐在日本人とするコメントを紹介している。

 違和感がある。本当だろうか。

 台湾在住者へ聞いてみると、

 「確かにアストラゼネカ製のワクチンは、血栓報告が報じられているので、不安に感じている人が多いのは事実でしょう。だけど、それは現在の日本と同じようにワクチン全体に言えるリスクであり不安です。少なくても私の周りの日本人で不透明で怪しげな中国製ワクチンを打ちたいなんて言っている人はいませんよ。関わる台湾人にもいません」(台北在住の日本人男性)

SNSでのサイレント・インベーション

SNSでのサイレント・インベーション

“AZ血栓”投稿は7日夕方から集中的に投稿されている

SNSでのサイレント・インベーション

 上記もあくまで1日本人の話ではあるが、台湾で日本よりも厳しい中国についての報道に日々接する台湾人が、中国製のワクチンがいくら従来型の不活化ワクチンとは言え安全だと考え、接種を希望する人がどの程度いるだろうか。

 日本政府が台湾へワクチンを提供したときに中国のSNS微博(ウェイボー)には、“AZ血栓疫苗”というハッシュタグやキーワードで大量投稿されている。AZはアストラゼネカ、疫苗はワクチンを意味する。#台湾疫情というハッシュタグをセットした投稿を見ると、「日本政府は血栓ができる死のワクチンを台湾同胞へ送って殺そうとしている」という過激な投稿が確認できた。

 今回も一般の中国人のアカウントを装った中国政府による官製炎上だとみられる。まさにSNSを使ったサイレント・インベーション=静かなる侵略といったところだろう。

 これらを台湾内の親中派工作員が、1年遅れで突然襲ってきたパンデミック騒動に乗じて台湾で拡散させていると思われるが、果たして真に受ける台湾人がいるのかと疑問に思う。

効果はあるが長期的に安全とは明言していない

 新型コロナワクチンは、世界保健機関(WHO)もどの国の政府も効果を確認して承認している。しかし、ワクチンそのものの長期的な影響は不明、わからないとなっており、長期的に安全だとはどこも明言していない

 今回、人類が史上初接種となるワクチンとして、mRMA(ファイザー、モデルナ)、ウイルスベクター(アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、スプートニクV)。従来から使用されているワクチンとして、不活化(シノバック、シノファーム、 KMバイオロジクス)、組み換えタンパク質(塩野義製薬)などのタイプがある。

参考サイト
新型コロナワクチンの開発状況について厚生労働省

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