暴動も炎上もすべて中国人の意思と主張する中国政府

暴動も炎上もすべて中国人の意思と主張する中国政府

五輪選手へのネット攻撃 日本人が考えもしない国策襲撃(2/3)の続き。

 水谷隼選手へ誹謗中傷のダイレクトメッセージを送りつけてきたのが、本当にツイッターへアクセスできるほんの数%しかない中国人なのであろうか。

 中国政府は、定期的に発生する特定の国や個人への抗議と称する暴動、SNS等での炎上騒動をあくまで一般の中国人の意思であり、中国政府は関与していないと主張している。

 ところが、中国には官製の炎上チームが存在し、官製炎上を起こしたり、お抱えインフルエンサーがいて、中国政府が意図する方向へ世論形成する役割を果たしている。

 中国政府はアクセス禁止前のウィキペディアを書き換えるための各言語別の専門チームを組織して中国に都合のいい内容へ変更を繰り返していたことは有名な話だ(現在も継続中とされる)。

すべて国内統治のため

 中国政府のこの20年のインターネット政策を踏まえると、水谷選手を誹謗中傷するダイレクトメッセージは一般の中国人によるものではなく、著しく官製色を帯びた専門チームによる計画的な攻撃と考えるほうが自然だろう。
  
 目的は、日本自体への攻撃もあるが、それよりも中国国内の世論誘導や一般国民に鬱積(うっせき)する不満などのガス抜きなどと考えられる。

 中国政府がインターネットを規制し、官製で炎上させたり、攻撃したりする、そもそもの目的はすべて内政、つまり、中国共産党による国内統治のためにある点がポイントとなる。

 日本人の感覚からすると、昨今、社会問題になっているSNSなどインターネット上での誹謗中傷は個人(または特定の団体)が行っているもので、日本という国が主導して行っていると考える人は皆無だろう。しかし、中国は国を挙げて国策としてネット攻撃を行っているのが現実なのだ。

 日本人の感覚に基づいて、中国を考えると対策を誤ることになる。中国が間違っているというわけはなく、日本とは価値観がまるで違う国だと知ってく必要があるということだ。

デジタル権威主義の象徴

 中国は「インターネット中央集中管理制度」を整えることで、本来は自由の象徴であったはずのインターネットをデジタル権威主義の道具に変えることに成功した。これによって強力な監視もできるし、世論形成もできるようになった。

 中国のインターネット状況は、日本視点から見ると、“とんでもない”となるが、そう思うのは、日本など先進国と呼ばれる一部の自由主義国家のみかもしれない。現実的に世界の多数を占める独裁や強権と呼ばれるような非民主義国家からすれば、中国のインターネット中央集中管理制度は、デジタル権威主義の象徴してピカピカと光り輝いて見えているに違いない。

 北朝鮮もそんな1か国に含まれていると思われる。現在、北朝鮮はインターネットが開放されておらず、国内のイントラネット構築段階にあるとみられる。いつか、インターネットが開放された時には、まるで過去の中国を見るかのような北朝鮮を見ることになると予想される。

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