丹東から平壌まで200kmを8時間かけてゆっくり移動する人気の国際列車

丹東から平壌まで200kmを8時間かけてゆっくり移動する人気の国際列車

ソウルから200kmほどの距離に位置する平壌駅

 氷点下の厳しい季節を迎えている中国丹東発、北朝鮮の平壌への国際列車チケットが相変わらず入手できないという声が旅行会社から聞こえてくる。

 丹東駅から平壌駅までの国際列車は、毎日午前10時に出発している。同列車は、丹東から平壌まで200キロメートルほどの距離を8時間かけてゆっくりと移動する国際列車として知られる。

 北朝鮮のレトロな鉄道が観光資源として注目される前からこの国際列車は人気の移動手段だった。時間があるため荷物検査が飛行機での移動と比べると格段に厳しいなどデメリットはあるものの平均速度25キロメートルほどのため車外の風景を手ブレせずにいい写真を撮ることができる。途中駅での停車時間も長いため新義州駅以外での下車はできないもが北朝鮮人たちの動きをよく観察することもできることあり人気は高い。

2019年5月から丹東の旅行会社が独占購入

 主な利用者は、往来する北朝鮮人や貿易など従事する中国人を除けば、中国人観光グループが大半を占める。中国人以外の外国人観光客の利用はそれほど多くなく比較的に簡単にチケットを確保することができた。

 その状況が一変したのは今年に入ってからだ。2014年ごろから中朝関係の冷え込みで国際列車を利用する中国人観光客は激減。日によっては、ほぼ貨物のみで運行する日もあったようだが、この中朝を結ぶ鉄道は、両国の間で年ごとに運行状況を決定するため乗客が少ないからとの理由で運行停止などは簡単にできない。

 転機は、2018年1月の平昌オリンピックとその後の春の金正恩委員長の訪中をきっかけに中朝関係の嘘みたいな好転により、中国人訪朝者の激増に転じた。その傾向は、今年も続いており、今年5月1日からは、出発地である丹東の地元旅行会社が国際列車チケットを独占したため外国人のチケット購入が非常に厳しくなっている。

帰国する北朝鮮人も購入が厳しい。オフシーズンも購入困難な状況は続く

帰国する北朝鮮人も購入が厳しい。オフシーズンも購入困難な状況は続く

北京-平壌を結ぶ国際列車(中国製車両)

 本来、2か国を結ぶ国際列車は、両国民に配慮したチケット販売がされるが、中国では他国では考えられない出発地丹東の1中国企業がチケットを独占しているため帰国する北朝鮮人もチケット入手に苦労するという奇妙な状況が起こっている。

 そもそも12月から3月までの冬季訪朝が解禁されたのは、2013年からとなるが、それ以降の6年ほどを振り返っても国慶節(中国の建国記念日)連休が終わる10月中旬から4月中旬までは中国人旅行客が大幅に少ないオフシーズンだった。そのため、今年5月1日から国際列車のチケットが買い占められてしまったが、マスゲームが終了した10月中旬以降なら再び今まで通りチケットが購入できるようになるだろうと中国国外の旅行関係者はみていた。しかし、独占購入は10月中旬以降も継続されたままなのだ。

(続く)

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