延伸が進まないタイの鉄道網。海外から中古車両を導入

延伸が進まないタイの鉄道網。海外から中古車両を導入

ブルートレインの車内。開放式B寝台と呼ばれるタイプの車両

 タイ国有鉄道(以下タイ国鉄)は列車を牽引する機関車、乗客を載せる客車、物品を運搬する貨物車など、海外の車両を多用している。そもそもタイ国鉄の始まりは英国やドイツの技術を用いているし、第2次大戦以前は欧州、日本から手に入れた機関車などを使用していた。戦後もアメリカや日本などからディーゼル機関車を輸入し、近年は価格が安いとされる中国のディーゼル機関車まで使われている。

 タイ国鉄は、線路の敷設総距離が戦後直後から見ても大きく延伸していない。日本のように国土を網羅していないので利用者が少なく、資金があまりない。そのため、海外の鉄道会社から中古車両を譲り受けることもしばしばある。

日本の寝台列車は希少性が高い

日本の寝台列車は希少性が高い

 日本からだと寝台列車で人気を博していた「ブルートレイン」も譲渡された客車の1つだ。タイに到着したブルートレインは紫色に塗り替えられているものの中身はほとんど日本で使用されていたときのままで、車内には日本語表示も残されている。

 一時期は、日本人の居住者が多いバンコクと北部の街チェンマイを結ぶ夜行列車として常時運行されていたが、今は必ずしもその車両が使われていないようだ。元ブルートレインは様々な路線で都度利用されるため、乗りたくても運次第というところがある。

 それ以外で運行されている寝台列車は主に韓国製と見られる車両が使われている。韓国製の車両の場合は多くが「プルマン式」と呼ばれるタイプだ。2段式のベッドは線路と平行した形で設置され、下の段は折りたたみ式で、通常はボックスシートになっている。

韓・プルマン式と日・開放式B寝台で寝心地の違いは?

韓・プルマン式と日・開放式B寝台で寝心地の違いは?

 タイ国鉄は運行時に車内に必ず警察官を配備し、またサービス担当者も乗り合わせる。寝台の場合は一定の時間が来るとその担当者が席を周り、シートをベッドに組み替えてくれる。シーツもホテル並みにピンと張ってくれるので、案外に寝心地がいい。

 しかし、韓国製寝台列車とブルートレインを比較すると、やはりブルートレイン方が乗り心地はいい。元ブルートレインは「開放式B寝台」と呼ばれるタイプで、ベッドは線路の枕木方向、どちらかの壁側に寄せて並べられている。車両によってブルートレインは個室もあるが、ベッドはやはり枕木に平行にセットされている。

 この向きが乗り心地や寝心地にどういった違いを体感させるかは分からないが、少なくとも日本製の車両の方がサスペンションの具合などがいい。韓国と日本の、国土面積の違いによる走行距離の差が車両の足回りに出ているのかもしれない。

  • 職員がベッドにしてくれる。韓国製の方がブルートレインよりベッドの幅が狭い気がする

高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(共書)、『バンコクアソビ』、『ベトナム裏の歩き方』、近著『亜細亜熱帯怪談』(監修)丸山ゴンザレスなど。
@NatureNENEAM

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