訪朝リピーターが単独ツアーを好む理由

訪朝リピーターが単独ツアーを好む理由

観光コースに組み込まれている中学校。北朝鮮人と接する機会は限られている

 日本人は1人でも北朝鮮ツアーへ申し込むことができる(中国人は原則団体ツアーのみ)。1人で参加してもツアーと呼ばれる。その理由は、1人旅であってもガイドが2人、運転手が1人の合計4人単位となるためツアーと称するのだ。

 1人ツアーだと、定番の板門店や平壌の観光地などを外し希望するアレンジが反映されやすくなる。その反面、ガイドたちへのチップや「玉流館」など有料オプションで訪れるとガイドたちの分の食事も負担する必要があるので1人あたりの負担も大きくなる。

 旅行費が多少高くなっても1人ツアーでリピートする人は少なくない。それだけ魅力があるということだろう。

 「1人ツアーだと話し相手がガイド2人となるのでガイドと濃密なコミュニケーションができるんです」(日本人男性)

 北朝鮮では、ホテルの関係者、観光地の案内人、外国人向けレストランや土産物店などのスタッフなど1部の北朝鮮人を除き、外国人との接触を厳しく制限している。そのため、北朝鮮を訪れても一般の北朝鮮人との接触は最小限となる。そうなると、北朝鮮の現地情報はガイドを窓口として得るしかない。だから、ガイドとの信頼関係、コミュニケーションが重要となるとある訪朝リピーターは話す。

指導者像の撮影は姿が欠けてはいけない

 北朝鮮で同行するガイドは、写真撮影など現地ルールもチェックしている。

 現在、北朝鮮で撮影NGなのは、軍人、建設中の建物や工事現場、観光地以外での通り過ぎる人物撮影にも渋い顔をする。

 他にも金日成主席と金正日総書記の銅像や通称“太陽像”と呼ばれる肖像画を撮影するときは、2人一緒に顔や胴体が欠けることないようにと“指導”される。

 銅像の撮影は正面からのみので横や背後からの撮影はNGとこれまた指導される。

特殊な北朝鮮観光。他の国では?

 このように北朝鮮ツアーはガイド同伴のみで自由行動ができないのであるが、何も世界で北朝鮮だけのことではない。

 ガイドが必ず同伴するのはブータンも同じだ。ブータン政府が観光コースを定める官製ツアーで、個人行動ができない点も北朝鮮に似ている。

 北朝鮮も含め世界200か国を1人旅している旅女Wさんは、

 「ガイドなしで移動ができない国は北朝鮮とブータンくらいでしょうか。サウジアラビアも2019年9月27日に観光ビザが解禁されたので旅行してきました。1人で個人行動できます。観光ビザがない国ではリビアがありますが、リビアはビジネスビザを取得すれば、入国後、ガイドなどつけずに自由行動できます。あとは日本に大使館がないようなアフリカの国も大使館がある国でビザを取得すれば旅することはできます。トラブルは絶えないですが」(Wさん)

 北朝鮮の観光は、“我が国を訪れたい人を許可している”というスタンスなので、観光立国のような国々とは前提が違う特殊な国であることは理解しておく必要がある。とは言え世界は広く、北朝鮮だけで突出した特殊な国ではないようだ。

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