北朝鮮は9月29日に新型極超音速ミサイル「火星8」の発射実験を行ったと発表するなど、ミサイル開発を進めている。兵器開発は第8回党大会で決定した「国防科学発展および兵器システム開発5か年計画」に基づいて行われており、同計画を踏まえると今後も開発は続くことになる。
 北朝鮮は、核やミサイル保有を脅威である外敵(米国)からの「自衛手段」と位置付けており、今回も金正恩総書記は「国家防衛力を強化するのは主権国家の最優先的権利」と正当性を強調した。

 北朝鮮の自力更生において、国防力強化は経済建設とともに欠かすことができない要素なのだ。
 

米国に譲歩しない姿勢を強調か

 演説を深読みすると、「北朝鮮は自力更生の道を進んでいるので国連制裁は無駄。今のまま米国が敵視政策を続けるのであれば、米朝対話に執着しないし、米国に譲歩もしない。自衛手段としての兵器開発も続ける」という対外向けメッセージが読み取れる。国内問題に重点を置いて語ったのも、自力更生のための政策が順調だとアピールする狙いもあったのかもしれない。

 実際のところ、北朝鮮も米国との対立は望んでいないだろう。金正恩総書記は、米中対立による「新冷戦」にも言及したが、南北対話や朝鮮半島情勢の安定化が遠のくので、新冷戦構図はもっと避けたいはずだ。

 だが、米国が態度を転換させない限りは譲歩しないという金正恩総書記の意思が固いのも確かだ。「北朝鮮は米国から譲歩を引き出すため無理をしているだけ」という見方もあるが、仮にそうだとして長年その姿勢を貫いてきたのが北朝鮮である。簡単に方針は変えないだろう。

韓国に条件付きで対話を呼びかけ

 その一方で、韓国に対しては、金正恩総書記は「米国追従をやめ態度を変えれば、対話や和解の道もある」と呼びかけた。

 なぜこのタイミングで、そのようなメッセージを送ったのかは不明である。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の任期が残りわずかであることを考慮したか、もしくは、朝鮮戦争の終戦宣言を訴えた文在寅大統領の本気度を測った可能性もある。

 北朝鮮は2019年2月のハノイ会談以降、一貫して米国や韓国の「行動次第」という待ちの姿勢を続けており、こう着状態が続いている。北朝鮮も米国も大きく動き出さない現状において、半島情勢の行く末は、金正恩総書記の呼びかけに文在寅大統領がどのように行動するかにかかっているとも言える。

八島 有佑
@yashiima

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