このことから、「日本から譲歩して韓国との防衛協力を無理に進める必要はない」という姿勢を改めて見せたと言える。

 「日韓・日米韓の連携は極めて重要であり、日韓防衛当局間の意思疎通を継続していく」という記述は残されているものの、日韓のわだかまりは大きい。
 

「竹島の領土問題」をめぐる対立

 竹島(韓国名 独島)をめぐる記述についても韓国から反発が起きている。

 韓国政府や慶尚北道は、白書における日本の「竹島領有権」を主張した記述に強く抗議して、即刻廃棄を求めた(韓国側の主張では「独島は慶尚北道の管轄」となる)。

 問題とされたのは、「わが国固有の領土である北方領土や竹島の領土問題が依然として未解決のまま存在している」という1文である。

 ここでの「わが国固有の領土である北方領土や竹島の領土問題」という文言は、2005年版白書で登場して以降16年連続で記載されており、毎年、韓国との対立を呼んでいるが解決のめどは立っていない。

もう1つの領土問題。不法占拠され続ける「北方領土」

 余談だが、同じく北方領土を「わが国固有の領土」であるとし、ロシア軍が「事実上、占拠」していると記したことについてロシアからも非難を受けている。

 ロシア側は「(北方領土は)第2次世界大戦の結果としてロシアの主権下にある」と主張しており、日本政府はかねてより北方領土の記述の仕方に苦慮しているのだ。

 たとえば、今年5月に出された2020年版『外交青書』(外務省)では、「北方領土はわが国が主権を有する島々」と記述した。前年の2019年版外交青書では、ロシアへの配慮から「北方四島は日本に帰属する」との表現を削ったところ、自民党内から批判が相次いだ結果このような表現に落ち着いた形だ。

 それでも歯舞群島と色丹島の事実上の2島返還にかじを切る中、「四島が日本に帰属する」との明記を避けるなどバランスを取ることに苦心している。

 このように竹島、北方領土、尖閣諸島と解決すべき問題が山積みのまま年月が過ぎている。

日本と韓国を隔てる歴史認識問題

 韓国メディア「聯合ニュース」は7月14日に「20年版防衛白書 韓国を冷遇」と題する記事を出し、「韓国への冷遇が目立った」と報じている。

 冷遇かどうかはともかく、確かに日韓関係の悪化が反映された書き方ではある。防衛白書を読む限りでは日韓関係の改善に向けて動き出す気配はない。

 防衛協力面だけでなく、外交面でも慰安婦問題や徴用工問題など問題は山積みであるし、日韓関係は当面回復する兆しが見えない。

 むしろ歴史認識をめぐる隔たりがここまで日韓関係を悪化させたという側面があり、防衛協力を進めたところで日韓関係がよくなるわけもない

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