ただ、その後、文在寅(ムン・ジェイン)政権は積極的にビラ散布禁止に動き出し、当時統一部長官であった金錬鉄(キム・ヨンチョル)氏が南北関係悪化の責任を取って辞任を表明するなど南北関係修復に向けて努力を重ねた。

 これら韓国側の姿勢を評価したのか、党中央軍事委員会は予告していた「対南軍事行動計画」の保留を決定した。その後は、関係が大きく好転することも悪化することなく現在に至っていた。
 

対韓軍事行動計画が再始動する可能性も

 この軍事行動計画は朝鮮人民軍総参謀部が提起したものである。計画には「金剛山観光地区と開城工業地区に連隊級舞台と火力区分部隊を展開」「軍事境界線付近での各種軍事訓練を展開」「軍事的に対南ビラ散布闘争を実施」などが含まれている。

 注意すべきは、昨年6月23日に党中央軍事委第7期第5回予備会議では同計画が保留されただけであることである。

 このとき金英哲(キム・ヨンチョル)副委員長(当時)は談話で、「『保留』が『再考』になればよい結果は生じないだろう」と述べており、「韓国の対応次第では計画が再始動する可能性もある」という含みを持たせていたのである。

 その後、計画が撤回されたとの報道はない。

 今回、金与正談話が伝えている内容を踏まえると、この対韓軍事行動計画と同様、もしくは、同レベルの対抗措置が検討される可能性がある。そのため、文在寅大統領は早急な対応を迫られている。昨年と同様対応が遅れれば、南北関係のさらなる悪化は避けられないからだ。

八島 有佑

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