たとえば、9月24日に発表した談話で金与正(キム・ヨジョン)党副部長は、韓国が提案する朝鮮戦争の終戦宣言を巡り、「敵視政策や不公平な二重基準がまず撤回されるべき」と主張している。10月3日には、北朝鮮外務省が、「米国と追従勢力の軍事演習と攻撃用兵器実験は黙認するのに、我々の自衛的措置にだけ言いがかりをつけている」として、北朝鮮のミサイル実験を問題視した米英仏を非難している。
 

金正恩総書記「米国の言葉を信じる根拠ない」

金正恩総書記「米国の言葉を信じる根拠ない」

昨年10月10日の軍事パレードで登場した新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)と比較しても大きな金正恩氏のパネルが複数確認できる(提供 コリアメディア)

 韓国に対しては、敵意を否定するなど歩み寄る発言も見られたが、米国に対しては、いぜんとして不信感を募らせている。

 金正恩総書記は、「米国は最近頻繁に、我が国に敵対的ではないとするシグナルを出しているが、敵対的ではないと信じられる行動的根拠は1つもない」と指摘し、「米国の言葉を信じる国があるなら見てみたい」と皮肉まで述べている。

 ソン・キム北朝鮮担当特別代表が9月29日の記者会見で「米国は北朝鮮に対して敵対的な意図を持っていない」と述べるなど、米国政府は「敵対心」を否定してきたが、北朝鮮側は米国の言葉をまったく信用していないようだ。

 これまでも米韓の合同軍事演習などに際して、「対話と真逆の敵対行動」と非難してきた北朝鮮。「言葉ではなく行動で示せ」ということだろうが、具体的な要望は演説には出てきていない。

 ただ、金正恩総書記は「朝鮮半島地域の情勢不安定は米国が根源としてある」と述べ、現状においては国防力強化が必要であると改めて主張した。

一貫した対米・対韓方針

 このように今回の演説は、金正恩総書記が9月末に行なった施政演説で示した対外方針と大きく異なることはなかった。もっと言えば、2019年12月の党中央委員会第7期第5回総会や、今年1月の第8回党大会などで示した方針が続いているという見方もできる。

 米国については、「米国の対朝鮮敵視が撤回され、朝鮮半島に平和体制が構築される時まで、国家安全のための必須的で先決的な戦略兵器の開発を中断することなく引き続き行う」(党中央委第7期第5回総会)とし、韓国については、「北南関係が回復し、活性化するのかどうかは、すべて南朝鮮当局の態度如何にかかっている」「北南関係の基本的な問題を解決し、相手に敵対する行為をすべて止める必要がある」(第8回党大会)と方針を定めていた。厳密に言えば、変化はあるのだが、今回の金正恩総書記の演説と大きく変わるところはない。

 このように北朝鮮は、米朝交渉や南北対話の進展は「米国や韓国の行動次第」と一貫して主張し、敵対行動の撤回を求めてきたのである。

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