外交交渉という観点から言えば、北朝鮮側も方針を曲げて譲歩する必要があるかもしれない。だが、北朝鮮としては、『2018年4月の南北「板門店宣言」や、同年6月の米朝「シンガポール合意」で決められたことは実行してきた』という認識なのだ。合意を守ってこなかった韓国や米国が行動すべきというわけだ。
 

9月以降、北朝鮮の対韓姿勢に変化

 ただ、金正恩総書記が「韓国を攻撃する意思はない」と繰り返し表明して、韓国に歩み寄る姿勢を示していることは注目すべき点である。

 金正恩総書記は9月の施政演説で「北南関係回復と朝鮮半島の恒久的平和を望む民族の期待と念願を実現するための努力の一環」として、「一旦は10月初めから断絶していた通信連絡線を再び復旧する」と表明し、実際に10月4日に通信連絡船は再開されている。

 北朝鮮側は依然として、「南北対話は韓国次第」という方針を貫いているものの、北朝鮮側がこのように対話に意欲的な一面を見せたのは2021年になって初めてとも言える。大きく譲歩する意思はないかもしれないが、任期終了間近である文在寅(ムン・ジェイン)政権に行動を促す狙いがあるとみられる。

 10月になってから徐薫(ソ・フン)韓国国家安保室長が訪米し、米政府関係者と面談して対米交渉について協議するなど動きが出ている。水面下で様々な交渉が行われているとみられ、今後の米韓の動きや、北朝鮮側の方針の変化に注目したい。

八島 有佑
@yashiima

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