最長25日まで投票できる

最長25日まで投票できる

ラオスは首都ビエンチャンであってものどかで過ごしやすい。夜にはメコン川沿いにナイトバザールがあった(コロナ禍以前の撮影)

 10月31日に実施される第49回衆議院議員総選挙において、海外在住者は、在外選挙制度に基づき、各国にある日本大使館や領事館で事前に投票することができる。しかし、現在の新型コロナウイルスの影響もあって、投票が行われない地域もあり、現地在住日本人は投票の権利を行使できない

 在外投票は、外務省や大使館などから公示された翌日から各国の日本大使館や領事館で実施される。今回の第49回衆議院選は10月19日に公示され、翌20日から実施されている。ただ、投票終了日程は各国で違う。投票用紙を日本に送り返す日程や、各国のコロナ対策の事情もあるためだ。

 ほとんどの投票所の終了日は、10月23日から25日の間になる。韓国にある日本大使館は25日までと最も長い期間が設けられている。釜山や済州にある日本国総領事館においては24日までだ。

選挙に行けないラオス在住者

 東南アジアを見てみると、タイも10月20日から25日が投票期間だ。一方で北部にあるチェンマイの領事館では21日に投票は終了している。ベトナムにおいてはハノイの大使館、ホーチミンの領事館においても10月20日と21日の2日間しか投票日がない。中部ダナンの領事事務所においては20日のたった1日だけだ。ベトナム政府のコロナ対策は強硬で、その影響やフライト数に限りがあることが理由とみられる。

 しかし、投票できるだけまだいい。外務省が発表している在外投票日時の一覧を見ると、226か所の在外公館の投票期間と時間が出ている。在外公館は229か所なので、3か所ほど少ない

 東南アジアにおいては、タイの隣国ラオスが入っていない。在ラオス日本大使館のサイトを見ると下記のような事情で在外投票が行われない趣旨が記載されている。

第49回衆議院議員総選挙の在外投票が以下のとおり行われます。一方、ラオスでは航空機の国際定期便の運行が停止されており、国際宅急便送付日数が以前よりも多く要していることから、記載済み投票用紙を期日までに日本へ運搬することが担保されないため、当館では在外公館投票を実施いたしませんのでご了承願います。

ラオス在留邦人はタイの100分の1

 外務省発表の在留邦人者数統計によれば、2020年10月1日時点で、ラオス在住日本人は833人になる(前年比-11.9%)。これは大使館に届け出る在留届の数が基準になっており、未提出者もいれば退去時に取り下げないケースもあるため、正確な在住者数とは言えない。ただ、一方で隣のタイは、同統計において8万1187人で、これと比較するとラオス在住日本人は少ない。

 ラオスは内陸の国で国際貿易などに不利な環境にある。また、日本とラオスでは航空機の直行便も不定期で、日本からこの国を訪れるにはベトナムやタイ、中国を経由しなければならない。

 こういった時世もあり、特にラオスは、いち早く鎖国状態にし、かつその後も外国人の入国を厳しく規制しているので、これが日本の選挙にまで影響を与える結果となった。

高田 胤臣(たかだ たねおみ)
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)など、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)

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