今年1位だった4月の2倍強。21年最高額となった9月

今年1位だった4月の2倍強。21年最高額となった9月

10月10日の朝鮮労働党創立76周年記念講演会で自力更生を訴えた金正恩総書記(提供 コリアメディア)

 中国税関総署が10月に発表した9月の中朝貿易統計によると、中朝貿易の総額が6990万ドル(約79億6000万円)と2021年で最高額となった。今年の貿易総額2位は、4月の3060万ドル(約34億8000万円)。

 北朝鮮は昨年1月下旬以降、新型コロナウイルス対策として厳格な国境管理を行なっている。中朝貿易も大幅に縮小していたが、今年7月以降、中朝貿易は回復傾向にある。

 一方、金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、9月末の最高人民会議で「経済部門の輸入依存性を減らす」と表明するなど、「自力更生」政策の継続を繰り返し強調している。自力更生推進の中、対中輸入の増加が続くか注目される。

 北朝鮮は貿易の90%以上を中国に依存しているため、中朝貿易は物流の安定や外貨獲得に直結している。

食糧不足の中で輸入1位はたばこ

 中国からの輸入は約5560万ドル(約63億3000万円)と、前月の2250万ドル(約26億円)から2倍以上となった。2020年6月以来の水準である。

 内訳を見ていくと、たばこ、食用油、プラスチック類、医薬品が輸入品目1~4位となった。その他、石油アスファルトや石けん、乳製品などが上位にならんでいる。石油アスファルトは建設分野に使用される可能性がある。

 食糧不足が懸念される中において、食用油や乳製品以外では目立った食品の輸入はなかった。嗜好品であるたばこが輸入品目1位となったのは意外である。

輸出総額は合金鉄が半分を占める

 中国への輸出は約1430万ドル(約16億3000万円)と、前月(8月)の約620万ドル(約7億円)から大幅に増加。コロナ禍前の2019年12月以来の水準となった。

 輸出品目1位は鉄鋼で約680万ドル(約8億円)。9月輸出額の約半分を占めており突出している。鉄鋼の月別輸出額としては2018年以降で最高額となる。輸出している鉄鋼は合金鉄(フェロアロイ)というもので、鉄を生産する過程で必要な副原料である。

 続く2位の時計類も、コロナ禍以前の水準まで回復。その他、穀粉や電力、肥料などが上位品目に並んでいる。

 なお、電力については、中朝国境沿いにある中朝共同運営の水力発電所で生産された電力が計上されている可能性もある。その場合は、交易として単純に他の品目と比較することはできない。

中朝貿易は7月以降増加傾向

 韓国・国家情報院は10月末、「北朝鮮は物資不足の深刻化を受けて対外交易の拡大を始めている」と発表した。北朝鮮の食糧・医薬品不足は非常に深刻で、今年7月以降、医療物資や緊急物資の国内搬入を許可しているとのことだ。

 実際、中国が発表した中朝貿易総額を分析すると、7月は2092万ドル(約24億円)、8月は2878万ドル(約33億円)、さらに、9月は6990万ドルと少しずつ増加していることがわかる。

 国家情報院は「北朝鮮が列車で中国およびロシアとの貨物運送を再開する動きがある」との見通しも示している。現在の防疫体制を考えると国境の全面開放はまだまだ先とみられるが、中朝貿易に回復の兆しがあるのは確かだ。

八島 有佑
@yashiima

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