70年代の中国=北朝鮮?

70年代の中国=北朝鮮?

観光入国停止前の平壌の主要観光地は中国人観光客であふれていた

 中国のSNSに掲載された「1000元(約1万8000円)あれば、北朝鮮では大金持ちになれるの?」から紹介したい。著者は中国朝鮮族で、北朝鮮庶民の生活や文化、旅行などのについての記事を発信している。

 北朝鮮と言えば、多くの中国人は1970年代の中国をイメージするだろう。多くの中国人が思い浮かべるのは、北朝鮮の人々の賃金の低さと物価の安さなのではないだろうか。農業従事者が多かった70年代の中国は、給料が安く、数元あれば色々なものを買うことができた。

 今では多くの中国人が毎年のように北朝鮮を旅行で訪れているが、中国人は「北朝鮮は物価が安い」というイメージを持っているので、現実とのギャップに驚くことが多い。

 たとえば、ある男性は1000元の現金を持って北朝鮮旅行へ行った。北朝鮮に4日間滞在して帰国した時、彼の所持金はわずか数十元だった。

平均月給を超えるハイヒール

 事実、北朝鮮の人々の給料は多くはない。ほとんどの人が5000から1万朝鮮ウォン程度となる。これを人民元に換算すると300元(約5400円)くらいとなる。

 しかし、北朝鮮の物価は、決して低くはない。自由市場へ行けば、中古のノートパソコンが3~4万朝鮮ウォン、冷蔵庫などの大型家電は10万朝鮮ウォンくらいで売られている。

 北朝鮮の一般的なスナック菓子は、数十朝鮮ウォンから数百朝鮮ウォンのものもあるし、洋服や靴も決して安くはない。北朝鮮の女性ガイドが履いていたハイヒールの価格を聞いたら「8000ウォンちょっと」と言われた。平均な月給を越えている…。

 北朝鮮の外国人向けショップの商品価格を見ると、中国の主要な都市と同じくらいの価格となっている。北朝鮮で売られている商品の価格は、決して安くないのだ。

 しかし、この物価が北朝鮮の人々の生活を圧迫するかと言われれば、圧迫することは少ない。なぜなら、北朝鮮の人々の生活必需品は、購入するのではなく、配給されているからだ。

 平壌に住む市民は、毎月、家族の人数に応じて食料や日用品が割り当てられる。北朝鮮は計画経済であり、人々の生活に密着したものは、主に配給されることで成り立っている。

平壌市民には大したことないが地方の人には超大金

平壌市民には大したことないが地方の人には超大金

平壌で増えたキヨスク。中国人も含め外国人は基本的に買い物はできない

 では、北朝鮮で1000元を持っていれば、大金持ちのセレブ気分に浸れるのか。答えはノーだ。1000元を持って北朝鮮へ旅行するのと、1000元を持って中国国内の旅行することと大差はないからだ。

 おそらく買い物好きには、北朝鮮で1000元では買い物欲を満たすことはできないだろう。以前、ある女性グループが、外国人向けショップで、チマチョゴリを買っているのを見たことがあるが、普通に1000元以上の価格で売られていた。

 平壌市民にとっては1000元は大した金額ではない。1000元は平均的な平壌市民の2、3か月分の月給に相当する。なんせ、一般の北朝鮮人が使用しているスマートフォンは2000元(約3万6000円)以上する。

 しかし、北朝鮮には貧富の格差があり、多くの平壌市民にとって、1000元は大した金額ではないが、農村部に住む北朝鮮の人々にとっては、とてつもない大金だろう。

現代中国にもある不思議な差額

 以上が本文からの紹介となる。それにしても、ハイヒールやスマホにしてもこの月給を大きく超える朝鮮ウォンを一体どこから調達しているのかは、疑問に思わないのだろうか。

 実は、同じような現象は現代中国でも見ることができる。月給の半額を超える家賃、月給数か月分の最新スマホ(一括払いで買うことが一般的)、多額のゲームへの課金などなど、一体どこから差額を捻出しているのか、日本人には不思議なことが少なくない。

※日本円の換算の数字に誤りがあり、修正しています。失礼しました。

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One Comment

  1. コレに出てくる円って圓、つまり大日本帝国時代に日本の圓と同価値の一圓、平たく言ったら今の韓国ウォンの事ですね。
    なお、どこの発展途上国でも本国と同じ生活しようと思ったら本国以上に金がかかります。
    なぜならその本国から輸入してるから。

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