金正恩氏の個人批判を書き込むと…

金正恩氏の個人批判を書き込むと…

9月9日付の労働新聞より金正恩総書記と李雪主夫人(提供 コリアメディア)

 中国人ブロガーが、「北朝鮮人の目には金正恩(キム・ジョンウン)氏がどう見えているのか?」という記事を24日に中国SNSへ投稿して多くのアクセスを集めている。

 中国では、金正恩氏の個人批判や否定的な書き込みは検閲対象のため、削除される。

 一定水準を越えると、書き込み主は、当局から管轄公安へ通知されて、監視が強化されるという。

 しかし、その逆、称賛とまではいかなくても、肯定的な内容であれば削除されないようだ。

 そのあたりを意識しているのか、やや誇張している感もあるが、中国人の視点が垣間見え興味深い。

全能な指導者として映っている?

 北朝鮮はミステリアスだと思っている人も多いようだが、私は北朝鮮はまったくミステリアスではないと思っている。

 なぜなら、30、40年前の改革開放以前の中国が、今の北朝鮮の姿だと認識しているからだ。

 北朝鮮社会は閉鎖的なので、往々にして人々は、閉鎖的なものに対して好奇心を抱くものでもある。

 私たちは、北朝鮮の本当の姿を知る情報源がないため、インターネット上には、北朝鮮についてのゴシップが大量に流れている。

 北朝鮮は、12年間の義務教育、住居の割り当てを実施し、無料の医療を提供している。

 北朝鮮の人々は、幼い頃から主体思想の教えを受け、自国に対する深い愛情と指導者に対する絶大な尊敬の念を持っている。

 北朝鮮の人々の目には、金正恩氏は5歳で銃を撃ち、7歳で馬に乗り、9歳で荷物を積んだトラックで険しい山道を運転し、10歳で驚くべき論文を書き、パイロットを指導し、農業生産の指揮と、きっと何でもできると映るだろう。

 北朝鮮にとって金正恩元帥は全能で、将来、朝鮮半島を統一する偉人である。これらの情報は、何度も試験問題として出題するので暗記することになる。

金正恩時代になってからの変化

 1990年代前半、ソ連の崩壊により、北朝鮮は経済的に苦境に立たされ、90年代後半には「苦難の行軍」の時代に突入した。

 多くの北朝鮮人は、その苦しい時代をよく覚えているが、あまり語りたがらない。

 事実、金正恩時代になってから、北朝鮮の経済状況はかなり改善された。人民の生活水準も向上した。先富論のように新たに金持ちになった北朝鮮人も現れている。

 生活水準が向上した結果、人々は良い服装を着るようになった。

 もし、中国製のタグが付いた服を着ることができれば、北朝鮮の人々にとっては自慢できる誇らしいことなのだ。

 また、金正恩時代は、北朝鮮への外国人観光客が急増した。これが大きな外貨収入をもたらしている。

 しかし、課題も多い。北朝鮮の農村では、生産責任制が実施されていない。

 過去に農村改革が行われたこともあるが、あまり効果はなかった。そのため、北朝鮮の農民は、働く意欲が乏しい。

 北朝鮮の農村は疲弊している一方で、先代から先軍政治を実施し、軍人の社会的地位は非常に高い。北朝鮮の少女が理想とする結婚相手ナンバー1は軍人だ。

今でも食料配給券が使われている

 北朝鮮の重工業、特に兵器製造は悪くない。しかし、軽工業の発展は遅れている。人々の生活に関わる多くの品目を中国からの輸入に頼っている。

 では、一般の北朝鮮人の生活はどうか。

 人々は、就職の悩みや仕事で受けるプレッシャーがなく、とてものんびりした生活を送っている。

 だが、北朝鮮には強力な民兵組織があり、有事の際には、総人口の40%がいつでも軍隊の派遣要員として動員できると言われる。

 北朝鮮は、厳格な戸籍管理制度を実施しており、住民は自由に移動することができない。

 最後に、私たち中国人が98%知らない驚くべき事実をお伝えすると、北朝鮮では、過去の私たちと同じような食料配給券を今でも利用していたりする。

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