このような状況の中でトランプ大統領は、3回目となる朝米首脳会談の開催を呼びかけるにいたったのである。

 トランプ大統領は、イランやシリア、パレスチナ、ベネズエラに対しては圧力一辺倒のポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官の独走を容認しているが、朝鮮問題は大統領選挙に向けた数少ない資産の1つであることから、朝米交渉については自ら主導してきた。トランプ大統領が金正恩委員長との個人的な信頼関係にもとづく交渉を重要視していることがよく分かる。
 

停滞していた米朝交渉に再びエンジンがかかった

Q 今回3回目となった米朝首脳会談の結果をどのようにご覧になりましたか。

 会談の成果は大きく2つあると言える。金正恩委員長とトランプ大統領が個人的な信頼関係をより強固にしたことと、2、3週間以内に実務者協議の再開が合意されたことである。たったこれだけの中身であるが、2月のハノイ会談以降停滞していた朝米交渉に再びエンジンがかかったという意味ではとても重要なことである。

 
Q 今回の首脳会談の特徴として何があげられますか。

 今回の会談は象徴的な意義を持っている。トランプ大統領が現職大統領として初めて共和国に足を踏み入れ、共和国の土地で金正恩委員長と抱擁を交わしたことは事実上の終戦宣言とも言えるものである。金正恩委員長が述べた通り、明日の朝米関係の姿を象徴した出来事となった。

 また、ハノイ会談以降こう着状態にあった朝米交渉が、今回トップ会談により再開の状況に入ったという点でも意義がある。朝米交渉はもう後戻りすることができない状況にあり、あとはスピードの問題となる。トランプ大統領は「(米朝交渉を)徐々にやっていく」としているが、交渉の進むべき道は定まっている。

Q 今後の米朝交渉の展望を教えてください。

 金正恩委員長とトランプ大統領は、個人的な信頼関係に問題解決の望みを託している。朝米交渉では、実務者レベルだけでは難しいため、外交的な実務者協議を通過せずにやっていこうとしているのだ。実務レベルでも協議は重ねていくが、大きな刺激を与えるのはトップダウンである。

 ただ、交渉を互いの信頼関係に委ねることで、トランプ大統領の意向に朝米関係が左右される危険性もあるし、今後も朝米交渉には紆余曲折があると思う。

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