中国で半年上拘束されている日本人は80人以上いるとみられる

中国で半年上拘束されている日本人は80人以上いるとみられる

中国北京の紫禁城・天安門広場

中国で半年上拘束されている日本人は80人以上いるとみられる

邦人80人が長期拘束される中国 定義なきのスパイ罪とはどんな扱いを受けるのか(1/3)の続き。

 しかし、スパイ罪以外はすべて公安が担当する公安案件となる。公安は、日本だと警察とイメージされることが多いが、中国の公安には戸籍管理をする役所のような行政業務も兼ねているため大きな権限を持っている。

 公安案件で拘置所で勾留された場合、最長15日間拘束され、その間に罰金刑なのか、強制送還なのか、起訴されて裁判となるかが決まる。初犯で、かつ、個人的な犯罪、中国社会への影響が限定的だと判断されたものの多くは、15日以内の拘束となるため、上記の日本人拘束者(2017年6月時点での)78人には含まれていない。ここで伝えられている拘束者とは半年上の長期拘束者を指しているとみられる。

スパイ容疑を担当するのは国家安全局。中国政府直属で強大な権限を持つ

 では、中国のスパイ容疑者はどこか担当するかというと「国家安全局」という公安とは別組織が担当している。

 国家安全局は、中央政府直属の元々は諜報機関だった組織が、現在、すべてのスパイ容疑者を担当している。中央政府直属のため公安とは比べ物にならないほど権限が大きく、予算は無尽蔵に持ち、かつ、謎の部分が多い。

 スパイ罪で逮捕されたマイケル・スパバ氏や9月に拘束された北海道大学の日本人教授は、国家安全局により取り調べを受けている。

韓国人スパイ容疑拘束者は0人

 ここにあまり知られていない事実がある。日本人はスパイ容疑、罪で14人が拘束されすでに8人が懲役刑を受けている。しかし、韓国人のスパイ容疑で拘束者は1人もいない。中国は、朴槿恵前大統領の時代のTHAAD配備に反発し、韓国への団体旅行を禁止したり、韓国人出演のイベントやCMを中止させて、韓国映画の上映も許可しないなど一方的な制裁が今も続いているような決していい関係ではないにもかかわらずだ。

 つまり、中国の反スパイ防止法とは、中国の内政や外交に大きく影響を受けており、日本人13人、韓国人0人は、中国の中長期の対日、対韓政策が反映していると見ていい。

スパイ容疑だけで67人が拘束されている台湾人。多くが音信不通に

 韓国に対しては、短期的な視点で政策が取られており、日本には尖閣諸島、沖縄、さらに太平洋分割を狙うためにアメリカも視野に入れた少し長い視点での政策を取っていることが伺える。

 もっと厳しいのは台湾人に対してで、2019年9月時点で少なくても67人がスパイ容疑で拘束されてその多くが音信不通となっている(中国による外国人拘束を考える 北大教授だけでなく相次ぐ事例)。スパイ容疑だけで67人、そうすると、公安担当で長期拘束されている台湾人はその5倍以上はいると推測される。

(続く)

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