日本人駐在員の街ジャカルタ。メイン顧客は非観光客

日本人駐在員の街ジャカルタ。メイン顧客は非観光客

北朝鮮大使館近くにあるモナス広場

日本人駐在員の街ジャカルタ。メイン顧客は非観光客

金正男殺害犯のアジト認定で国連制裁前に閉店したジャカルタの北朝鮮レストラン(1/2)の続き。

 インドネシアは、バリ島が観光地として知られ多くの日本人が観光に訪れるが、非観光地であるジャカルタへ旅行する日本人は少ない。ジャカルタにいる日本人の多くが日本企業の駐在員と家族、加えて外務省の在留邦人にはカウントされない短期出張者が占めている。現地在住者によると、一時滞在者や頻繁にアセアン間を移動するため在留届を出していない人も含めジャカルタに滞在する日本人は常時2、3万人ほどになるという。

 そのため、北朝鮮レストランへ行く日本人は観光客ではなく、駐在員や出張者がメインとなっていた。金正男氏殺害事件の後に閉店した平壌レストランがあったのは、日本人が多く滞在する南ジャカルタから10キロメートルほど東へ行ったエリアで、周辺に居住している日本人は少ない場所だ。

 ジャカルタと言えば、バンコク、マニラと並ぶ最悪渋滞都市の1つとされるくらい渋滞が慢性化している。渋滞のため中心部からレストランまで10キロメートルくらいの距離にもかかわらず、朝晩を避けた昼間にタクシーで移動しても度々渋滞にハマり1時間ほどかかる。

元常連が語るジャカルタの北レス店内構造

 かつてジャカルタに駐在していた経験者で平壌レストランの“常連”だった日本人男性Sさんに話を聞くと、1階はテーブル席があり、壁掛けのテレビでは北朝鮮の合唱団の映像が流れたり、北朝鮮ぽい絵画も飾ってあった。2階は、個室のカラオケルームがあったそうだ。建物自体は3階まであったが、レストランとして使用されていたのは2階までだったという。

 北朝鮮レストラン名物と言えるステージショーは開催されていたが、2016年あたりになると同年2月の韓国政府による韓国人駐在員や海外在住者へ北レス自粛の呼びかけなどが影響してか客入りが悪くなり不定期となっていたそうだ。だがそのへんの詳細はよく分からないという。というのもSさんような駐在員は、主に2階のカラオケ完備の個室で食事をしていたからだ。平壌レストランの日本人のメイン客であるSさんのような駐在員は、テーブル席ではなく、もっぱら個室利用が多かったのではないかと振り返る。

オアシスの隣には金正男殺害犯らが出入りしていた部屋が

オアシスの隣には金正男殺害犯らが出入りしていた部屋が

朝晩は特にひどいジャカルタの渋滞

 メニュー価格は、高いもので1品15万ルピア(約1100円)くらい、トッポギやチジミ、餃子も9万ルピア(約660円)くらいで、数人で数品頼んでアルコール含めて1人40万ルピア(約2950円)くらい(イスラム教徒が多いインドネシアはアルコールが相対的に高い)だった。

 この価格は、インドネシア人向けの和食店の価格より高く、日本人向けの和食店よりは安いくらいの価格だ。周辺国の北朝鮮レストランと比べるとアルコールが高い分、現地物価と比べると高く感じる。

 Sさんは個室のカラオケの思い出を遠い目で語る。

 「非常に礼儀正しく一緒に歌ったり、踊ったり楽しむことができ、しかも、常連の顔や好みを覚えていてくれることが好印象でした。私にとってジャカルタ生活のオアシス的な場所でした」

 2階のカラオケ個室の奥に金正男氏殺害事件に関与した人物たちが出入りしていた部屋があったと現地メディアは報じている。カラオケの個室とは施錠された鉄の扉で仕切られていた。

 ジャカルタの北朝鮮大使館は、平壌レストランから西へ10キロメートルほどの独立記念塔(モナス)があるモナス広場南にある。独立記念塔の上には炎がデザインされており、どこか平壌の主体思想塔を彷彿ととさせるデザインだったりもする。 


ANTARANEWS – Berkunjung ke restoran Korea Utara Pyongyang Restaurant

 店内の内装やテーブル配置が分かる。平壌冷麺も登場し麺の色はちゃんと黒い。

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