加えて、韓国人は休戦中である北朝鮮のリスクを警戒し、自国通貨であるウォンを所持するよりも、外貨や金などでの資産運用を好む傾向があり、あまり預金をしないとの見方もある。こうした韓国の地政学的な事情や国民性もクレジットカードの普及に寄与したと考えられる。
 

クレジットカード普及が引き起こした社会問題

 韓国政府の利用促進策により、クレジットカードの普及率が上がり、経済の回復に結びついたことは事実だ。しかし、クレジットカードの普及が進んだことで、韓国国内で多重債務者に陥る人が増加している。

 この要因の1つが、クレジットカードで1000円以上利用すると、毎月行われる当選金が日本円でおよそ1億8000万円の宝くじに参加できるという政策だ。このギャンブル性が高い宝くじの当選確率を上げるためにクレジットカードを数多く利用する韓国人が増加し、その結果20代などの若者で自己破産に陥ったり、自殺者が増えている

 こうした事態を放置すれば、国内経済への悪影響が懸念されるため、韓国政府は、近年、クレジットカード推奨ではなく、(事実上の)借金をせずにキャッシュレス決済が可能なデビットカード利用の推奨へと政策をシフトさせている。

 デビットカード決算方式は、日本ではあまり普及していないが、翌月払などの信用に難がある中国では主流となっており「銀聯カード」が代表格として知られる。韓国でも銀聯カードの普及率が急上昇している。

 結果、2015年とやや古いが韓国のクレジットカードとデビットカードなどを含めたキャッシュレス決済比率は89.1パーセントと断トツ世界一となっている(2位中国60パーセント、日本は18.4パーセント)。

 韓国におけるクレジットカードの普及がアジア通貨危機による国家破綻状態から経済の立て直しへの大きな原動力となったのは事実だ。しかし、それが現在、大きな社会問題を引き起こしている。世界的なクレジットカード大国である韓国の今後の動向に注目していきたい。

参考サイト
第9章 韓国の動き財務総合政策研究所
韓国におけるクレジットカードに関する法規制の状況と市場動向について一般社団法人日本クレジット協会

千歳 悠
4年ほど活動しているフリーライター。金融、IT、国際情勢など日々情報を追いかけている。趣味は読書と動画視聴。

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