1951年以降は、韓国籍への変更に韓国政府発行の「国籍証明書」が必要となったことで、実質的にも韓国籍は「大韓民国(韓国)の海外公民」と言える。

 その後、2012年に改正出入国管理法が制定されて外国人登録証明書は在留カードに代わったが、現在でも日本政府は朝鮮籍を「朝鮮半島出身者およびその子孫等で、韓国籍をはじめいずれかの国籍があることが確認されていない者」と定義している。

 つまり多くの人が誤解しがちであるが、「朝鮮籍=朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の海外公民」ではないということだ。
 

日本では朝鮮民主主義人民共和国の国籍は不認定

 では、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の海外公民としての国籍はどう表すのかという話になるが、結論から言えば現在の日本において朝鮮民主主義人民共和国の国籍は認められていない。

 日本政府の立場によると、「北朝鮮を国家として承認していないのだから北朝鮮の公民は日本国内にはいない」という論理なのだ。

 たとえば、前述のように国籍を証明する方法として各国が発行する旅券(パスポート)がある。「朝鮮民主主義人民共和国旅券」の場合は「在日本朝鮮人総聯合会」(朝鮮総連)が窓口となって発行している。

 本来この旅券さえあればどこの国に行っても国籍を証明できるはずが、日本政府は未承認国である朝鮮民主主義人民共和国旅券を「有効な旅券」として扱っていないためそれも不可となる。

 実際に北朝鮮の海外公民であったとしても、日本国内においては無国籍者という扱いになり、彼らは自身の国籍を証明する手段がないのだ。

韓国籍・日本籍から朝鮮籍への変更はできるのか?

 朝鮮籍はこのように便宜上の国籍であることから特殊な状況に置かれている。

 たとえば、朝鮮籍から韓国籍への書換えはさほど難しくないが、韓国籍から朝鮮籍への書換えは制度上困難となっている。

 朝鮮籍に変更するには、申請者が出生時より、(1)大韓民国旅券の給付を受けていないこと、(2)韓国で国民登録を行なっていないこと、(3)「協定永住」の資格を有していないことの3要件をすべて満たす必要がある。

 現在、日本在住の韓国籍保有者の中でこの要件をすべて満たしている者はごく少数と考えられ、書換えは事実上不可能に近いのだ。

 子が幼いときに両親とともに朝鮮籍から韓国籍に変更し国民登録を行っていた場合、子が大人になってアイデンティティを確立して「朝鮮籍を取得したい」と考えるにいたっても不可能となる。

 その他にも朝鮮籍保有者と日本国籍保有者が婚姻した場合、朝鮮籍の配偶者が日本国籍を取得することは可能だが、日本人配偶者が朝鮮籍を取得する際に問題が生じる。

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