2017年開設だが最近一気に注目されたEcho DPRK
北朝鮮といえば、大げさな語り口のアナウンサーが、指導者を仰々しく賞賛するのがお決まりだった。ところが、最近はSNSを巧みに利用し、スマートな宣伝戦に乗り出している。
中でもウンアと名乗る北朝鮮の女性が、英語を交えて北朝鮮の実状を伝える「ユーチューブ」チャンネルは注目の的だ。韓国メディアも警戒しつつも、その映像を度々取り上げている。
このチャンネルは「Echo DPRK」というタイトル。2017年8月開設され、現在まで約40の映像を公開している。
9000人余りの購読者も確保していて、固定ファンがいることが分かる。
ウンアは20代とおぼしき短髪の若い女性だ。胸には金日成、金正日親子のバッジをつけている。
英語もなかなかのものだ。この若さで海外留学は考えにくいので、外国語大学で学んでいる学生だろう。ウンアが出るEcho DPRKは、これまでは平壌の名所を紹介する普通の内容だった。ところが最近、海外で行われた北朝鮮の報道に反論する内容を放送し、一気に関心を集めた。
演出臭い構成も手が込んでいる
True or False(Panic buying): Un A’s Pyongyang tour series: #northkorea
2万アクセスを超えるスーパー突撃(?)インタビュー編(英語字幕付き)。最近の動画のハッシュタグには#Norhtkoreaも
4月に金正恩朝鮮労働党委員長が20日間姿を見せなかったときのこと。米紙の『ワシントン・ポスト』紙が、正恩氏の消息が分からないことで不安が広がり、「平壌で買い占めが起きている」と報道した。
ウンアはさっそく、番組の冒頭で「買い占めは真実でしょうか?偽りでしょうか?」と視聴者に語りかけたあと、平壌市内のスーパーを訪れ、買い物客にインタビューを行った。
場所は、最近、改装されたばかりの大成デパートだった。
店内には豊富な品物が並んでいる。
ここがソウルと言われれば、信じてしまいそうだ。
奥様風の買い物客はマスクをしっかりつけている。「このごろ物価が高くなりましたか?」とウンアが聞く。買い物客は警戒するでもなく「むしろ一部の製品は安くなっていますね」と答えた。他の買い物客も「モノは不足していません」と無愛想に答えている。
2人とも驚きもせず質問に答えており、むしろ不自然だ。演出臭さも漂っているが、ウンアは、「フェイクニュースはもっとも望ましくないことです」とソフトに番組を締めくくった。
トランプ米大統領が、メディア批判で好んで使う「フェイクニュース」という用語を使うあたり、手が込んでいる。
一般ユーチューバーでは無理な映像と海外報道に反論する動画も発信
正恩氏は5月1日に、順川リン酸肥料工場(平安南道)の竣工式に参加して、20日ぶりに動静が確認された。一部メディアが、「この基地は核兵器に使われるウラニウムの抽出基地としても活用される」と疑惑を指摘した。