200万人を超える在米韓国系移住者

200万人を超える在米韓国系移住者

タイの屋台でもトッポギなどが見られ、若い人が特に好んでいる(写真は韓国・釜山)

200万人を超える在米韓国系移住者

 100年以上前の話にさかのぼれば、中国の貧困層などが活路を国外に見出し、海外移住する人が少なくなかった。現在、華僑となって海外に飛び出した子孫たちは華人となり、特に東南アジアでは政治や経済の中心にいつも中国系の人種が存在する。

 日本人も第2次世界大戦以前は海外に移住する人もいた。ハワイやアメリカ本土、ブラジルや中南米には日系移民の子孫が現地で暮らしている。

 近年は韓国人の移住も増えてきているように見受けられる。韓国企業が巨大な工場を作ることから、東南アジアにその姿がよく見られる。韓国人の移住先で最大の地域は移民大国アメリカだ。1965年に韓米の協定で韓国人移住が増え、現在は200万人超の韓国系住民がアメリカ国内に居住するという。

相互扶助のため同じ民族・国籍で集まって中華街やコリアタウンを形成する

 海外に移住する民族は大なり小なり、同じ国籍の者同士が集まる傾向にある。外国では様々な事柄が不利であるため、個人で行動するよりも相互に助け合って生活したほうがなにかと便利だからだ。また、移住先の政府が管理などを目的に居住地域を指定する場合もある。そうして形成されるのが、中国系であれば中華街、あるいはチャイナタウン、日系であればリトルトーキョーなどだ。

 当然、韓国系ならコリアタウンが形成される。しかし、そもそもの移住人数が中国人と比較して少ないため、その規模は小さい。日本や中国、アメリカのように移民の歴史長いとそれなりにコリアタウンの規模は大きくなるが、タイのように近年に増加している場合においては明確なコリアタウンは存在しないと言ってもいい。

バンコクの韓国人街は焼肉店の集合体

バンコクの韓国人街は焼肉店の集合体

観光地としても人気が高く夜遅くまで賑やかなヤワラー(中華街)

バンコクの韓国人街は焼肉店の集合体

 タイの首都バンコクは、日本人だけでなく韓国人の渡航も多い。通常時であれば観光客の入国者数は日本人よりもずっと多かった。しかし、韓国大企業の駐在員ならともかく、自営業などの移住者は1か所に固まらず、各々の好みの場所に居を構える傾向がある。

 これは日本人の移住によく似ている。バンコクにおいてもリトルトーキョーと呼ばれるような日本人移住者が集まる地域はなく、広範囲に散らばっている。

 バンコクにおけるコリアタウンも、中華街として知られるヤワラーのように明確にあるわけではなく、スクムビット通りソイ12の商業施設「スクムビット・プラザ」が便宜上コリアタウンと呼ばれているに過ぎない。ここに韓国焼肉のレストランが少なくとも20年前から集中していて、かつて日本式の焼肉店がほとんどなかったころは、日系企業駐在員らはこの施設で焼肉接待をしていたほどである。

中国系移民と韓国系移民の商習慣の違い

中国系移民と韓国系移民の商習慣の違い

バンコク郊外のタイ人向けディスコ。聞けば外国人客は韓国や中国が中心。こんなところにも韓国人が住んでいるのだ

 タイの商習慣は中国に似ていて、各地に問屋街がある。同じ系列の店が軒を連ねるが、日本人は似通った店が近隣にあることを好まない。韓国人も同様のようで、最近出店している個人経営店は多くが郊外などライバルがいないところを狙う傾向にある

 韓国系移民の多いアメリカ西海岸でも同様に韓国人の新移民者たちは競合のない地域に店を出してきた。特にミニマートが多く、誰も店を出したがらない治安の悪い地域に出店することも少なくなかった。しかし、オーナーは比較的安全な場所に居を構える。そのため、売上金は閉店後に他地域に持ち出すこととなり、地域住民からすれば地元の金を奪っているように見えてしまう。そのため、暴動が起こると真っ先に狙われるのが韓国人経営のミニマートというのがアメリカの現実だ。

郊外出店で成功する韓国人移住者。K-POP人気も売上をけん引

 タイの場合は比較的好意を持って受け入れられている。タイに来た韓国人新移住者は韓国料理店を出すことが多い。和食ほど認知度は高くないが、タイ人もバーベキューなど焼肉は好きで、しかも日系の焼肉よりもずっと安いので、所得レベルがあまり高くない郊外に行けば行くほど人気が出る。韓国ドラマやK-POPの人気も韓国料理需要をけん引しているだろう。

 ただ、韓国人移住者の新型コロナウイルスの影響も甚大で、現在は出国者数が入国者数を上回っている状態だ。和食店もタイ人向けにやっていた店は客足が戻っているが、日本人相手に経営していた店はいまだ苦戦している。こうなると、互助会を形成しやすい中華街のような集合地域があったほうがよかったのかもしれない。集合地域や互助会がないと個人で戦う必要があるため、韓国移民はしばらく苦労しそうだ。

高田 胤臣
タイ在住ライター。2002年から現在にいたるまでバンコクで過ごしている。『バンコクアソビ』(イースト・プレス・2018年)、『バンコク 裏の歩き方【2019-20年度版】』(彩図社、2019年・皿井タレー共書)、『ベトナム裏の歩き方』(彩図社、2019年)、近著『亜細亜熱帯怪談』(晶文社、2019年・監修丸山ゴンザレス)など。
@NatureNENEAM
在住歴20年が話したい本当のタイと見てきたこととうまい話と(note)

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