なお、国家保安法は第7条で「利敵表現物所持」を禁止しているが、条文を読むと対象物を単に所持するだけでなく「利敵行為をするという目的」も有している必要があると解釈できる。そのため、今回、何も知らずに金日成回顧録を購入した人であっても、同書を所持している事実だけで即違法にはならないと考えられる。
 

金日成回顧録は日本では入手できる

 渦中にある金日成回顧録「世紀とともに」とは、いったいどのような内容なのだろうか。

 同書は1992年に北朝鮮の「朝鮮労働党出版社」が出版したものである。金日成主席の自伝で、出生から1945年の日本支配からの解放までの抗日闘争の記録が記されている。全8巻で、最後の2巻は金日成主席が死去(1994年)以降に出版された。

 回顧録中の歴史的事実の正確性について疑問視する声はあるものの、北朝鮮研究者にとっては金日成主席の活動や主体(チュチェ)思想などを知る上で重要な資料となっている。

 なお、日本では「雄山閣出版」から日本語翻訳版(金日成回顧録翻訳出版委員会)が発売されており、図書館などで閲覧することが可能である。

 北朝鮮の在日同胞団体である「在日本朝鮮人総聯合会」(朝鮮総連)の公式サイトには原典(朝鮮語版)が掲載されており、回顧録の重要性がうかがわれる。

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