文在寅大統領が新年記者会見をオンライン開催

文在寅大統領が新年記者会見をオンライン開催

2018年4月27日に板門店で行われた南北首脳会談(提供「コリアメディア」)

 文在寅大統領が年初に恒例行事として行う新年記者会見は、政権の政策や方針を示す機会となっており、国内外から注目が寄せられている。

 今年は1月18日に開催され、新型コロナウイルス対策のためオンラインで2時間にわたって会見が行われた。

 米国でバイデン政権が誕生し、今後、半島情勢がどうなるか未知数であるが、韓国の文在寅大統領は2018年から一貫して南北対話を進めようとしている。

 今回の会見でも、文在寅大統領は南北対話について詳しく語った。

文在寅大統領「いつでも金正恩氏に会う用意がある」

 文在寅大統領は、「任期が残り約1年4か月であり、残された時間は少ない」とした上で、「この間に最善を尽くして南北関係を発展させたい」と決意を示した。

 また、「金正恩氏のソウル訪問は南北間で合意されており、いつか実現することを期待している。だが、必ずしも金正恩訪問が先である必要はなく、私はいつ、どこであっても金正恩氏に会う用意がある」と語った。

 今後については、「国連制裁の枠組みの中でも制裁に抵触することなく可能な、もしくは制裁の例外として承認を受けることで実現可能な南北協力事業がある。南北が互いに対話を通じて協力事業を実践すれば南北関係の実現、さらには米朝対話への推進力となる」という指針を示した。

「金正恩氏の平和への意志は固い」

 また、懸念が示されている非核化協議であるが、次のように語った。

 「金正恩氏の平和への意志、対話への意志、非核化への意志は確かにあると考えている」と文在寅大統領は明言した。北朝鮮の「非核化意思」に対して懐疑的な見方がある中で、これを明確に否定したのだ。

 では、それにもかかわらず、北朝鮮が様々な兵器を開発し続けているのはなぜなのか。これについては、「非核化と平和体制構築の会談が妥結されていないために生じているもの」であり、「対話が妥結されれば、そうした問題はすべて解決する」と文在寅大統領は説明。

 その上で、「北朝鮮が要求しているのは、米国から体制の安全を確実に保証され、北朝鮮と米国との関係が正常化されることだ」と述べた。

バイデン大統領にトランプ政権の北朝鮮政策の継承を求める

 今月20日に発足した米国のバイデン政権に対しても言及があった。

 文在寅大統領は、「米国の新政権発足で、米朝対話、南北対話を新たにスタートさせる転機が用意された」と歓迎した上で、「米朝対話はトランプ米政権で到達した成果を継承し、発展させるものでなければならない」と述べ、トランプ政権における北朝鮮政策の継承をバイデン大統領に求めた

 文在寅大統領としても、「シンガポール宣言」(2018年6月米朝会談)で交わした約束を実践すべきだと考えている。バイデン政権がどのように対北交渉を進めていくか不透明な中で、米国をけん制した形である。

文在寅大統領は北朝鮮の代弁者なのか?

 文在寅大統領の上記新年記者会見は、すべて北朝鮮がこれまで主張してきたことを正確に解釈した発言であったと言える。

 だがその反面、韓国の一部では、「文在寅大統領は北朝鮮の代弁者か?」という反発も出ている。

 これには、会見2日後の1月20日に文在寅大統領が、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官を電撃交代させたことも関係している。

 康京和氏は昨年12月に国際会議で、「北朝鮮の新型コロナウイルス感染者ゼロは信じがたい」などと発言し、金正恩総書記の実妹である金与正氏がこれを非難する談話を出していただけに、「北朝鮮に配慮した人事ではないのか」という声が出ているのだ。

 しかし、韓国大統領府は康京和氏の交代を、「米国のバイデン新政権発足に合わせた人事刷新」と説明している。

 韓国では過去にも、金然哲(キム・ヨンチョル)元統一部長官や鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)元国防部長官が、金与正氏の非難談話後に更迭された前例があったために生じた憶測に過ぎないのだが、上記会見と合わせて不満が生じているのだ。

 「文在寅大統領が北朝鮮の主張や見解を代弁している」という指摘自体もある意味、間違いではないが、それをどのように評価するかは見解が分かれるだろう。

 文在寅大統領からすれば、「南北対話を進める上では、北朝鮮の真意を米国に理解させ、譲歩を引き出すのが最善」と認識した上での発言だと考えられるからだ。

 とは言え、韓国国民の不信感が広がれば、無視し続けるわけにもいかないため、文在寅大統領が残りの大統領任期中にどのように韓国国民を納得させ、南北対話を実現していくか注目が寄せられる。

八島 有佑

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