文在寅大統領が新年記者会見をオンライン開催
文在寅大統領が年初に恒例行事として行う新年記者会見は、政権の政策や方針を示す機会となっており、国内外から注目が寄せられている。
今年は1月18日に開催され、新型コロナウイルス対策のためオンラインで2時間にわたって会見が行われた。
米国でバイデン政権が誕生し、今後、半島情勢がどうなるか未知数であるが、韓国の文在寅大統領は2018年から一貫して南北対話を進めようとしている。
今回の会見でも、文在寅大統領は南北対話について詳しく語った。
文在寅大統領「いつでも金正恩氏に会う用意がある」
文在寅大統領は、「任期が残り約1年4か月であり、残された時間は少ない」とした上で、「この間に最善を尽くして南北関係を発展させたい」と決意を示した。
また、「金正恩氏のソウル訪問は南北間で合意されており、いつか実現することを期待している。だが、必ずしも金正恩訪問が先である必要はなく、私はいつ、どこであっても金正恩氏に会う用意がある」と語った。
今後については、「国連制裁の枠組みの中でも制裁に抵触することなく可能な、もしくは制裁の例外として承認を受けることで実現可能な南北協力事業がある。南北が互いに対話を通じて協力事業を実践すれば南北関係の実現、さらには米朝対話への推進力となる」という指針を示した。
「金正恩氏の平和への意志は固い」
また、懸念が示されている非核化協議であるが、次のように語った。
「金正恩氏の平和への意志、対話への意志、非核化への意志は確かにあると考えている」と文在寅大統領は明言した。北朝鮮の「非核化意思」に対して懐疑的な見方がある中で、これを明確に否定したのだ。
では、それにもかかわらず、北朝鮮が様々な兵器を開発し続けているのはなぜなのか。これについては、「非核化と平和体制構築の会談が妥結されていないために生じているもの」であり、「対話が妥結されれば、そうした問題はすべて解決する」と文在寅大統領は説明。
その上で、「北朝鮮が要求しているのは、米国から体制の安全を確実に保証され、北朝鮮と米国との関係が正常化されることだ」と述べた。
バイデン大統領にトランプ政権の北朝鮮政策の継承を求める
今月20日に発足した米国のバイデン政権に対しても言及があった。
文在寅大統領は、「米国の新政権発足で、米朝対話、南北対話を新たにスタートさせる転機が用意された」と歓迎した上で、「米朝対話はトランプ米政権で到達した成果を継承し、発展させるものでなければならない」と述べ、トランプ政権における北朝鮮政策の継承をバイデン大統領に求めた。
文在寅大統領としても、「シンガポール宣言」(2018年6月米朝会談)で交わした約束を実践すべきだと考えている。バイデン政権がどのように対北交渉を進めていくか不透明な中で、米国をけん制した形である。