日本人女性の一人旅も増えている中国・ロシアとの国境を接する北朝鮮の羅先

日本人女性の一人旅も増えている中国・ロシアとの国境を接する北朝鮮の羅先

羅先市内の土産物店

 北朝鮮は、数年前から中国やロシアと国境を接する羅先特別市への観光誘致に力を入れている。

 ビザどころかパスポートも不要な中国人日帰りツアーでは、自家用車でそのまま北朝鮮へ入国しドライブをしたりもできる。

 昨年あたりからは、日本人向けの観光誘致にも力を入れ始め、今年は、さらに日本人観光客を増やすために動きを加速させている。

 6月に羅先へ一人旅をし、北朝鮮から国際列車でロシアへ出国した日本人女性の感想を紹介したい。

 ご飯はまずい、ネットは繋がらない、ルールが異常に多い。確かにネガティブなことも多かったですが、それ以上に貴重な体験ができたことに、大満足な旅でした。

 1番印象的だったのは、人の優しさ!日本人なら少しは抱くかもしれない、北朝鮮女性アナウンサーの捲し立てるような話し方のイメージ。しかし実際にはそんな話し方とはかけ離れた、とっても優しく穏やかな口調の方が多かったです。

 口調だけでなく、性格も温厚。ガイドさんはもちろんのこと、北朝鮮からロシアへ向かう鉄道で同室だったおじさん達も非常に親切で、食べ物や飲み物を沢山シェアしてくださいました。

 お店では賞味期限切れのお菓子や水が普通に売られており、驚きました。他にも、畑を未だに牛で耕していたり、建物がすべて同じ作りであったり、9割の人が制服を着ていたり、レストランでミサイル発射祝典ビデオが流れていたりと、発見や学びは尽きることがありませんでした。ガイドさんが常に解説してくださるので、本当にいい勉強になります。

 彼らも日本に興味があるようで、沢山の疑問を投げかけてくれました。特に政治的な質問や歴史、教育に関する質問が多いです。「日本では北朝鮮についてどんな教育がなされてるの?」「独島-竹島問題についてどう考えている?」「なんで日本人はクジラを食べるの?」「慰安婦問題に関してはどう放送されている?」など、割と踏み込んだ議論をすることができました。北朝鮮の方々とこういった大きな問題について直接話し合える機会はないので、この経験だけでも十分価値があったと思います。

 ガイドさんは日本語が流暢な方と英語が流暢な方の2名がついてくださるので、現地では何も苦労しませんでした。安心して北朝鮮の文化を楽しめますよ。

20代女性

訪朝者急増で琿春イミグレが制限

訪朝者急増で琿春イミグレが制限

日本人は今年から夏季期間の土日通行ができなくなった圏河口岸(イミグレーション・出入国審査場)

 先日、掲載した五味洋治氏の記事でも紹介されているように羅先と対面する中国琿春市当局が7月に発表した今年上半期の往来者は前年比の5割増しと急増している(中国の3億中間層を狙え 北朝鮮が観光客誘致に本腰 Wi-Fi導入も)。

 この話を裏付けるように、6月に羅先を訪れた女性は、渡航の直前に6月1日から土曜日のイミグレーション業務が停止となると中国側から告げられてリスケを余儀なくされている。

 中国のイミグレーションは2種類ある。中国人とすべての外国人が入出国できる1級と中国人を前提とした出入国手続きができる2級とに区分されている。

 1級は、国際ルールに乗っ取り両国の同意で決定される。2級は、外国人の往来者は、いわば「おまけ」なので中国の都合で決定することができる。琿春とロシアを結ぶイミグレーションは1級で、琿春と羅先を結ぶイミグレーションは2級に位置づけられる。そのため、羅先への往来者を手続きするイミグレーションは、中国の都合で変更できてしまうわけだ。
 
 1級であるロシアへのイミグレーションは、原則、365日休みなく出入国手続きができるが、2級である羅先へのイミグレーションは、日曜日のみが完全停止となっていたが、日曜日に加えて、中国人の羅先訪問者の急増で、土曜日も中国人以外の外国人の出入国手続きが停止された(6月から10月まで限定)。

弾丸旅行気分な中国人土日の羅先ツアー

 羅先ツアーを手配した旅行代理店へ伝えられたのは、北朝鮮入国予定日の1週間前だったそうだ。

 吉林省延吉にある旅行会社によると、土日を利用して羅先を訪れる中国人が急増したためだろうとのことだったが、会社で有給を取らなくても気軽に国外旅行ができる羅先は、旅好きの日本人会社員による「弾丸旅行」の感覚に近いのかもしれない。

 弾丸旅行とは、有給を取らずに金曜日の夜から月曜日の出勤前までのタイトな日程で海外旅行を楽しむ旅の達人たちの旅行スタイルを指す。

 ちなみに羅先で日本人旅行者を担当するのは、「羅先国際旅行社」という会社となる。まだ日本人に対応に慣れていないようだが、日本人をもっと増やしたいと積極的にアプローチしてくるわりには、日本語ガイドが1人しか在籍していないなど、まだまだ改善点は多そうだ。

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