ロシアが2万5000トンの小麦の食糧支援を発表

ロシアが2万5000トンの小麦の食糧支援を発表

金正恩委員長が台風被害地(黄海北道銀波郡)の農場視察を伝える9月12日付の労働新聞(提供「コリアメディア」)

 9月12日、在北朝鮮ロシア大使館が「フェイスブック」でロシアから北朝鮮へ2万5000トンの小麦を食糧支援したと明かした。ロシアは今年5月にも2万5000トンの小麦を食糧支援しており、合計5万トンを支援することになる。
 
 在北朝鮮ロシア大使館によると、今回の2万5000トンの小麦は南浦へ運ばれ、西海閘門から12キロメートルの沖合で6隻の船へ積み替えて入港。乗務員とともに2週間の隔離を経てから防カビや殺菌のために燻蒸して各地方へ送られる。

 北朝鮮側はロシアからの食糧支援に対し感謝の意を示した。本件は新型コロナウイルスという困難な状況下で両国の友好的な協力関係を明確に確認するものとなる。

 と発表している(Russian Embassy in the DPRK)。

中国メディアが伝える金正恩氏の4つの狙い

 北朝鮮は、8月中旬の大雨に続き、台風8、9、10号直撃で被害を出した。金正恩委員長は被災地を度々視察し、復興状況を確認したり、台風10号の後には朝鮮人民軍を被災地へ派遣することを決めている。

 中国メディアでは金正恩委員長の一連の行動には、1.迅速な復興、2.復興作業の促進、3.外国からの支援は受けない、4.国民に寄り添う指導者の4つを国内にアピールする狙いがあると報じている。

 金正恩委員長は新型コロナウイルス、大雨、相次ぐ台風も国外からの支援には頼らず、自分たちの力、「自力更生」で復興するとの談話を国内向けに発表している。

 しかし、2月上旬の中朝国境封鎖後も中国から人道や医療支援を受けており、加えて今回のロシアの食糧支援と中国、ロシアから定期的な支援を受けていることになる。

懸念される食糧危機。農作物の発育状況は?

 在北朝鮮ロシア大使館が発表した「北朝鮮がロシアの支援に対して感謝の意を示した」は、北朝鮮が発表したものではないので、北朝鮮国内では一切報じられていない。つまり、国内的にはロシアから食糧支援を受けたことを北朝鮮人は誰も知らない可能性が高い。これなら金正恩委員長の国民に対するメンツは立っているのかもしれない。

 中国のSNSでは、今回のロシアによる北朝鮮への食糧支援のニュースと並び今年の吉林省延吉の水稲の生育状況を伝える記事が表示される。記事によると、今年の水稲は米粒も大きく豊作予想とのことだ。

 北朝鮮北部と同緯度で国境も接する中国吉林省の今年の米は豊作が見込まれる。金正恩委員長がシャツ姿で水稲を視察する写真を『労働新聞』が報じているが、北朝鮮は年末へ向けて食糧危機が懸念されている。今年の水稲を含む農作物の生育状況はどうなのだろうか。 

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