報じられない4日のICBM級ミサイル発射

報じられない4日のICBM級ミサイル発射

4月25日の閲兵式(軍事パレード)を見守る金正恩総書記(提供 コリアメディア)

 日本はゴールデンウイーク(GW)も終盤にかかる5月4日、北朝鮮は平壌の順安空港一帯から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射した。日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとされる。

 北朝鮮は今年3月16日には、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したが、初期段階で爆発した。

 この際には国営メディアでは報道されなかった。今回4日に発射されたミサイルもICBMの可能性があり、ICBM級のミサイル発射が報じられないのは異例である。

 しかし、一方で北朝鮮は、今年1月に長距離巡航ミサイルを発射した際には、2日後の別のミサイル発射の事実とともに3日後に報道したことがあり、今回もそのように時間をおいて報道する可能性もある。

顔の日焼け具合を確認できるほど公開

 北朝鮮の軍事挑発は、4月25日に平壌の金日成広場で夜10時に始まった史上最大級の朝鮮人民革命軍創建90年記念の軍事パレードで予見されていたことである。

 2時間以上にも及ぶパレードの行進で、筆者が特に気になった部隊がある。

 それは軍服ではなく、黒いスーツを着て、手には銃を携え耳にはワイヤレスのイヤフォンをした“革命武力の一翼を担当した精鋭部隊の威容をとどろかす”と紹介された国家保衛省縦隊である。

 秘密警察とされるこの部隊が、顔をさらしての登場である。

 彼らの顔をよく見るとマスクをしていたり、しなかったりなのであろうか、日の焼け方が均一ではないのが印象的であった。

 また、2021年9月9日に行われた軍事パレードでも登場した軍用犬とともに登場した部隊も確認できた。

 夜間に行われる軍事パレードの開催は、集中力が増し、演出効果も高まるとのことであるが、もはやエンターテインメントの域である。

親書を交わして10日は尹大統領へ祝砲か?

 北朝鮮の思惑はいかに。4月22日、朝鮮中央通信は、「金正恩(キム・ジョンウン)同志が南朝鮮の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と親書を交換した」として「金正恩同志が4月20日文在寅大統領から届いた親書を受けて4月21日回答親書を送った」と報道した。

 「(両首脳は)お互いが希望を抱いて変わりない努力を注いでいけば、南北関係が民族の念願と期待に合わせて改善され、発展していくということに意見を一致した」と伝えた。

 朝鮮中央通信は、金委員長が南北首脳が歴史的な共同宣言を発表し、全民族に将来に対する希望を持たせたことを回顧し、「任期最後まで民族の大義のために気を使ってきた文在寅大統領の苦悩と労苦を高く評価した」ともした。

 韓国では、5月10日に第20代大統領として尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が就任する。

 5年ぶりとなる保守政権である。北朝鮮の反応はいかなるものになるだろうか。

 同日就任式が行われる。前後して祝砲(!?)としてミサイル発射の可能性も出てくるだろう。

宮塚 寿美子(みやつか すみこ)
國學院大學栃木短期大學兼任講師。2003年立命館大学文学部卒業、2009年韓国・明知大学大学院北韓学科博士課程修了、2016年政治学博士取得。韓国・崇実大学非常勤講師、長崎県立大学非常勤講師、宮塚コリア研究所副代表、北朝鮮人権ネットワーク顧問などを経て、2014年より現職。北朝鮮による拉致被害者家族・特定失踪者家族たちと講演も経験しながら、朝鮮半島情勢をメディアでも解説。共著に『こんなに違う!世界の国語教科書』(メディアファクトリー新書、2010年、二宮皓監修)、『北朝鮮・驚愕の教科書』(宮塚利雄との共著、文春新書、2007年)、『朝鮮よいとこ一度はおいで!-グッズが語る北朝鮮の現実』(宮塚利雄との共著、風土デザイン研究所、2018年)、近共著『「難民」をどう捉えるか 難民・強制移動研究の理論と方法』(小泉康一編者、慶應義塾大学出版会、2019年の「「脱北」元日本人妻の日本再定住」)。

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