世界を苦しめている新型コロナウイルスについて北朝鮮は、途上国にワクチンを供給する国際枠組み「COVAX(コバックス)」から、ワクチンを受ける約束を取りつけている。しかし、北朝鮮国内での接種状況のモニタリング(監視)受け入れに難色を示し、具体的な供給時期の見通しが立っていない。このため中国は、得意のワクチン外交を展開し、北朝鮮にも中国製ワクチンを大盤振る舞いするかもしれない
 

本音は対米対話したくてしかたがない

本音は対米対話したくてしかたがない

食糧問題の動向に注目が集まる。6月25日付の労働新聞(提供 コリアメディア)

 一方、正恩氏の「対話の用意がある」との発言を受け、米国務省のソン・キム北朝鮮特別代表が6月19日から訪韓し、日本や韓国の担当者と、北朝鮮への対応について意見交換した。北朝鮮の経済状況が厳しく、非核化協議に応じてくるとの読みがあるようだ。

 もっとも北朝鮮は、正恩氏の発言の後、すぐさま金与正(キム・ヨジョン)党副部長や、李善権(リ・ソングォン)外相が米国との対話に否定的なコメントを発表している。

 いったい対話する気があるのかないのか分からなくなるが、これは、米国側を混乱させ譲歩を促す「心理作戦」との見方がもっぱらだ。本音は対話したくてしかたがないはずだ。制裁を解除してもらわないと、経済が破綻してしまうかもしれない。

 ただ、北朝鮮が完全に中国側についてしまうと、米国は警戒し、対話に乗ってこないだろう。かといって、コロナ対策で国境封鎖を続けると国内の不満が高まるのは避けられない。無条件で大規模な支援を受けられるのは、中国しかない。

 7月に正恩氏の訪中や中朝間の高官訪問があるのかは、今後の北朝鮮情勢を占う重要なポイントになりそうだ。

五味 洋治(ごみ ようじ)
1958年長野県生まれ。83年東京新聞(中日新聞東京本社)入社、政治部などを経て97年、韓国延世大学語学留学。99~2002年ソウル支局、03~06年中国総局勤務。08~09年、フルブライト交換留学生として米ジョージタウン大に客員研究員として在籍。現在、論説委員。著書に『朝鮮戦争は、なぜ終わらないか』(創元社、2017年)、『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』(文藝春秋、2018年)、近著『新型コロナ感染爆発と隠された中国の罪』(宝島社、2020年・高橋洋一らと共著)など。
@speed011

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