10月の金正恩総書記の演説は2回

10月の金正恩総書記の演説は2回

10月11日の国防発展展覧会で演説する金正恩総書記(提供 コリアメディア) 

 北朝鮮国営メディアの報道によると、金正恩(キム・ジョンウン)総書記は10月中に2回演説を行い、国内外にメッセージを発信した。

 主に国内問題については、「自力更生」を基本にした経済政策を続けると表明。人民生活の向上を強調するとともに、「党中央」指導部の役割を確認した。

 また、対外関係については、「主敵は戦争」として他国との戦争の意思はないと表明する一方、韓国と米国に対し、改めて敵視政策および「二重基準」の撤回を求めた。

 二重基準とは、北朝鮮の兵器開発を「緊張を激化させる不適切行為」と批判する一方、米国の同盟国(韓国)の軍事力強化については「北朝鮮の脅威への抑止力」と正当化しているとして、米韓の姿勢を非難するものである。

10月10日演説、党中央の役割強調

 まず、10月10日の朝鮮労働党創建76周年に際して行われた記念講演会で、金正恩総書記は、「社会主義建設の新たな発展期に即して党活動をさらに改善しよう」と題して演説を行った。

 金正恩総書記が党創建記念日に演説するのは、今年が初めてとなる。

 演説では人民生活の向上が強調されたが、それと同時に、党中央という語が頻出したことは注目である。

 「党中央の唯一的指導体系を確立」「党中央の革命思想」「党中央のまわりに全人民が一心団結」など、党中央の役割を繰り返し強調したのだ。

 ただ、党中央という語が何を指しているかは明らかにされていない。

 「党中央委員会」や「中央党」という語と区別されて使用されていることから、党中央は独自の意味を持つとみられる。

 かつて、故金正日(キム・ジョンイル)総書記が党中央と呼称されていたことがある。金正日総書記が、金日成(キム・イルソン)主席の後継者として公式に活動するようになった頃から、党中央という呼称は使用されなくなった。

 今回の演説で使用された党中央という語も、特定の人物、もしくは、限られた指導部を指していると考えられる。

 実妹・金与正(キム・ヨジョン)党副部長や、第1書紀就任報道のある趙甬元(チョ・ヨンウォン)書紀、9月に党政治局常務委員会に就任した朴正天(パク・ジョンチョン)書紀などが含まれている可能性もあるが、現状では推測の域を出ない。

10月11日演説、米韓に敵視政策と二重基準の撤回を要求

 続いて、金正恩総書記は、10月11日の国防発展展覧会「自衛2021」(~22日)の開幕式で演説を行い、自衛力強化の必要性を訴えた。

 金正恩総書記は「主敵は韓国や米国、特定の国家ではなく戦争そのもの」とし、「自衛力は国家存立の根本」「国防力強化は正当な自衛権の行使」と強調した。

 韓国に対しては、二重基準について非難を寄せつつも、9月末の最高人民会議での演説と同様、韓国の態度次第では、南北和解の可能性もあることを示唆している。

 米国については、「米国は我が国に敵対的ではないとするシグナルを出しているが、敵対的ではないと信じられる行動的根拠は1つもない」と不信感をあらわにした。

 従来と同様、米韓の二重基準を非難し、敵視政策撤回を求める内容だが、非難のトーンは抑制されていた。

その他の金正恩総書記の動静

 金正恩総書記は10月1日、「中華人民共和国創建72周年」に際して、習近平主席に祝電を送った。

 これに対する答電(19日)の中で、習近平国家主席が、「中朝関係の発展を高度に重視し、(金正恩)総書記同志とともに努力して戦略的意志疎通を強化する」と表明したと北朝鮮メディアは報じている。

 25日には、金正恩総書記が「中国人民志願軍朝鮮戦線参戦記念日」(10月27日)に際して中国人民志願軍烈士陵園に花輪を送るなど、良好な中朝関係がうかがわれる。

 その他では、金正恩総書記は14日、ラオスとシリアの各首脳が党創建76周年に際して寄せた祝電に対して答電を送り、その中で協力関係の強化を訴えたと報じられている。

八島 有佑
@yashiima

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