大連より丹東に近い庄河

大連より丹東に近い庄河

8日に今冬の初積雪が観測された丹東。対岸の新義州も積雪が確認されたとみられる

 中国遼寧省大連での新型コロナウイルス陽性者が増えている。大連市政府によると11日現在、新たに確定症例者52人、無症状感染者5人を確認した発表。これで10月末からの感染で確定症例者135人、無症状感染者80人とのことだ。いずれも大連中心部から175キロ・メートルほど離れた庄河市となる。

 今回の感染拡大で大連市民は、今や市内移動に欠かせなくなった健康QRコードが黄色に変わったため、半強制的にPCR検査を受けている状況だ。

 この状況を北朝鮮は、注意深く観察しているのではないだろうか。実は、庄河から丹東は直線距離で145キロ・メートルほどと大連中心部へ行くより近い

 しかし、大連市としては庄河を「大連」と強調したい事情がある。庄河は河がつくように水源に恵まれていて多くのダムがある。庄河は大連中心部へ水道水を供給する重要な水瓶となっているからだ。

 また、現在の行政区的には、大連市に含まれるので、対外的にも大連と報じられるが、経済的な結びつきは、同じ旧満州国(大連市は日本の直轄地扱いで旧満州国ではない)だった歴史的経緯もあり丹東のほうが強い。

丹東にも新型コロナ陽性者?

 先月28日、韓国の国家情報院が、11月にも丹東と北朝鮮・新義州を結ぶ国際列車が再開する可能性があるとの見通しを発表したが、今回の庄河での感染拡大の情報は、丹東在住の北朝鮮人から現地情報として報告されているはずだ。そのため、国際列車再開はさらに先延ばしされる可能性が高い。

 丹東の在住の北朝鮮人と接触する中国朝鮮族は、北朝鮮側は中国政府が発表する統計や数字をあまり信用しておらず、疑っているようだと話す。

 現時点で中国政府が発表する情報では、丹東市での新規陽性者は確認されていないことになっている。しかし、北朝鮮側は、そのまま鵜呑みにせず、強く警戒して情報を集めているとみられる。
 
 在住北朝鮮人たちは、庄河と丹東の人的往来や経済的なつながりを考えると、中国政府が発表しない(隠蔽?)だけで、丹東もすでに新型コロナの陽性者がいると考えていてもまったく不思議ではない。

中朝貿易再開の活気皆無な丹東

 先日、中国税関総署が発表した貿易統計では、9月が6990万ドル(約79億6000万円)で最高額となったとKWTでも紹介したが、コロナ禍前まで中朝貿易全体の7割を占める最大の交易都市だった丹東には、貿易再開の活気がまるで感じられない。

 丹東の貿易商へ話を聞いても、「年内に国境封鎖が解除される見込みはない。下手したら春節(旧正月)どころか来年春(北京冬季五輪)までこのままかも…」とこぼしている。

 丹東関係者へ話を聞く限り、現在、中朝貿易が本格再開したとの情報は聞こえてこない。そうすると、発表されているこの約80億円はどこで取引されている金額なのであろうか。

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