中朝車両が交互にピストン輸送

中朝車両が交互にピストン輸送

平面の屋根の部分が丹東駅の貨物用ホーム

 1日から都市封鎖(ロックダウン)されている中朝国境の丹東は、2度目の延長期限を迎えた7日、ロックダウンはさらに延期されたようだ。

 中国政府はロックダウンという言葉自体を禁じているので、「静態管理」などと表現している。

 時間限定で社区(マンションの敷地区域に相当)内での移動を認め、12日から全面解除という見通しを出している。

 しかし、もはや丹東市民の多くが12日に解除されるとは思っていないだろう。

 ロックダウン以降、重要なライフラインを支える宅配業者がサービスを制限しているなどの問題があり、SNS上では宅配業者への不満(当局への湾曲な批判?)が多く見られる。

 市民には厳しい外出制限が行われている丹東であるが、北朝鮮との国際列車による貿易は続いているようだ。

 遼寧省瀋陽の貿易関係者によると、1日以降は、中国車両と北朝鮮車両が交互にピストン輸送しているそうだ。

 たとえば、丹東から新義州へ輸送する場合は、中国列車が運搬し、運転手や乗務員は乗車したままで一切降車も北朝鮮側関係者とも接触せずに貨物を降ろし、そのまま丹東へ戻ってくる。

感染対策の対象外か?

 このような非接触でのピストン輸送は、1月の国際列車での中朝貿易再開時にも話題となった。

 車両から降りないとはいえ、北朝鮮国内に入っているので入国扱いとなるはずであるが、中国当局は、降車しない、接触しない、または、短時間の滞在などを理由にして、半ば強引に強制隔離などの感染対策の対象外にしているとみられる。

 北朝鮮側も同じような例外扱いにして実施されているようだ。

 北朝鮮列車が新義州から鴨緑江を渡り丹東駅の東側の貨物用のホームへ到着し、貨物を降ろしたり、積み込んだりして新義州へ戻る。運転手や乗務員は降車せず、中国側関係者とも一切接触せずに行われているという。

 しかし、北朝鮮側へ戻った後に隔離されているかなど詳細は明らかになっていない。

丹東市民は貿易継続を知らない可能性も

 1月の国際列車での貿易再開以降は、事実上の国家貿易として行われており、民間企業は関与できていない。

 そのため、貿易関係者も詳細は把握しておらず、一般の丹東市民であれば、貿易が行われていることを知らない可能性もある。

 丹東市民は、厳しい行動制限を受けているのに、いまだに北朝鮮との国際列車での貿易を続けていると知れば、個人的な不利益を受けることを覚悟の上でSNS等で反発の声を上げることも予想される。

 当局としては、市民から無用な不満を防ぐために、国内向けにはあえて中朝貿易へ一切触れずに粛々と続けていくと思われる。

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