朝鮮族Yさんが見た中国の電車に存在しない光景

朝鮮族Yさんが見た中国の電車に存在しない光景

多くの人が利用する東京の巨大ターミナル駅

 中国は昨年12月7日にゼロコロナ政策を解除し、正月早々には中国入国時の強制自費隔離を撤廃した。

 それによって、ようやく3年ぶりに訪日することができた中国朝鮮族の実業家Yさん。

 Yさんは、3年間の空白を埋めるように東京だけでなく、大阪や北海道、長野、高知、福岡などと全国を飛び回って各地の顧客を訪問して再会を喜んだという。

 東京に戻ってきたタイミングで、電車で移動しながら現状などを近況を聞いていた。

 下車したあとに、「中国にはまったく存在しないので『異質』だけど、人間社会にとって自然な日本の良い光景」と言い出した。

 どの光景かと言えば、車内で見かけたハンディキャップを持っていると思われる中年男性と周りの乗客たちの光景だった。

 彼の動作や仕草から独自のマイルールへのこだわりの強さを感じさせるハンディキャップを持っていると思われる。

 しかし、特に周りに迷惑をかけるわけでもないので、周りの乗客たちもごく自然だ。

 これが中国の都市部を走る電車の中で、同様の光景を見ることはまずないという。

隔離して社会から隔絶させる

 これらのハンディキャップは先天性なので、国籍や民族に関係なく、どの国でもほぼ一定の割合で存在するはずであるが、中国ではあまり見かけない。

 その理由は、遠く離れた施設で隔離されているからとされる。

 中国の身体的、または、非身体的なハンディキャップを持つ人たちは、社会から隔絶されているのだ。

 中国では、ハンディキャップを持つ人が1人で外出するなんて、まずないとYさんは話す。

 Yさんは以前、北朝鮮の工場とも仕事をしていたことがあるので、毎月のように北朝鮮へ足を運んでいた時期がある。

 北朝鮮も中国と同じで、たとえば、首都平壌にはスロープや手すりなどバリアフリー設備が少ない。必要する人が少ないからだと現地案内人は話していたという。

 非身体的なハンディキャップはもちろん、事故などで身体的なハンディキャップを負ってしまった場合は、中国同様に社会から隔絶されると聞いたそうだ。

 中朝共通するのは、ハンディキャップを持つ人を社会で見せること自体が好ましくないとの考えが根底にあるとのことだ。

東京の電車で見つけたノーマライゼーションのかけら

 障害がある人ない人、高齢者、子供、外国人とあらゆる人たちが可能な限りノーマルな生活ができる社会という考え方をノーマライゼーションという。

 日本もノーマライゼーションには、まだまだ改善点が多いのが現状であろう。

 しかし、それでも過度に遠慮したり、特別視することもなく自然に接している姿にYさんは、中国や北朝鮮には存在しない日本の良さを改めて感じたようだ。

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