朝鮮学校無償化訴訟: 元生徒側の控訴を棄却 東京高裁

 控訴審で弁護団は、「上記2つの理由が両立しないこと」および「朝鮮学校を不指定処分とした真の理由は『規定ハの削除』であること」を主張したところ、裁判長は、2つの理由の関係性に重大な関心を示し、国側に2つの理由の関係性について説明を求めた。弁護団は、裁判長が2つの理由の関係性を正確に理解しており、不指定処分の理由が「規定ハの削除」でしかありえないと考えていると確信した。

 本日の判決で裁判長は、不指定処分の理由が「規定ハの削除」である場合は根拠規定を削って不指定としているのに対し、不指定処分の理由が「13条不適合」である場合は根拠規定に基づき不指定としているため、2つの理由が論理的に両立しないことを認めた。この点では、弁護団の主張が認められた。

 次に問題になるのは、「規定ハの削除」、「13条不適合」のどちらが、不指定処分の真の理由となるかである。真の理由となるのは、先に効力を生じた方である。弁護団は、「規定ハの削除」が効力を生じた日は官報に公告された2013年2月20日であり、「13条不適合」が効力を生じた日は不指定通知が届いた同年2月21日であるため、「規定ハの削除」が真の理由であると主張した。

 この問題について裁判長は、「規定ハの削除」が効力を生じたのは2月20日であるが、「13条不適合」に関して、不指定通知が届く前に文部科学省内部で行政処分が成立していたと考えることができ、不指定処分の真の理由は「13条不適合」であると結論を下した。

 その後、裁判長は、地裁判決と同様、朝鮮学校の適正運営の問題を挙げ、文部科学大臣の判断は広範な裁量の内で不指定処分が不合理であるとまでは言えないとし、原告の請求を棄却した。
 

法律審である最高裁へ

 弁護団は「原告の皆さんと相談した上でだが、最高裁の判断を仰がなくてはならないと思う。上告審は法律審と呼ばれ、判例違反、憲法違反など法律的にどこがおかしいかという点に絞って議論される。この高裁判決は単に朝鮮学校を差別したというだけではなく、最高裁の判例に違反する議論を含んでいる。『行政処分の成立と効力』について議論はあるが、今回の不指定処分が省令を削除した2013年2月20日以前に成立したということはありえない。これは最高裁の判例である。上告審では、法律論に絞って理論的な側面から国側の主張の矛盾点を明らかにし、合わせて朝鮮学校生徒の学ぶ権利が行政の恣意的な判断によって奪われたということを改めて主張したい」と上告審での方針を述べた。

 同様の裁判は、全国5か所で起こされているが、唯一地裁判決が出ていない福岡地裁小倉支部での訴訟は来年3月14日に判決を予定している。

立山達也

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