首脳会談の際など政府関係者以外の一般の人間がこれほど間近で、金総書記に接見できるのは貴重なことであり、それだけ同氏が両国のパイプのような役割をしてることも想像できる。他にも軍人が武器を携え、一糸乱れない行進するパレードの様子も間近で撮影されている。

 これほど生きた北朝鮮の様子をカメラに収めた写真家は、なかなかいない。

 最後に、北朝鮮の地下鉄の中で、無邪気な子供とその母親の様子の写真も印象深い。その様子を他の乗客たちが優しい眼差しで見ている。国連安保理などの厳しい制裁を受けながらも、人民の表情からはゆとりさえ感じられる。

 同氏が企画協力・撮影した在朝日本人妻のドキュメンタリー映画「ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん。」も公開されたばかりだ。またこちらも鑑賞した感想をレポートしたい。


映画「ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん。」予告編
 

宮塚 寿美子(みやつか すみこ)
國學院大學栃木短期大學兼任講師。2003年立命館大学文学部卒業、2009年韓国・明知大学大学院北韓学科博士課程修了、2016年政治学博士取得。韓国・崇実大学非常勤講師、長崎県立大学非常勤講師、宮塚コリア研究所副代表、北朝鮮人権ネットワーク顧問などを経て、2014年より現職。北朝鮮による拉致被害者家族・特定失踪者家族たちと講演も経験しながら、朝鮮半島情勢をメディアでも解説。共著に『こんなに違う!世界の国語教科書』(メディアファクトリー新書、2010年、二宮皓監修)、『北朝鮮・驚愕の教科書』(宮塚利雄との共著、文春新書、2007年)、『朝鮮よいとこ一度はおいで!-グッズが語る北朝鮮の現実』(宮塚利雄との共著、風土デザイン研究所、2018年)、近共著『「難民」をどう捉えるか 難民・強制移動研究の理論と方法』(小泉康一編者、慶應義塾大学出版会、2019年の「「脱北」元日本人妻の日本再定住」)など。

最終日は3回写真説明を行う盛況ぶり

最終日は3回写真説明を行う盛況ぶり

会場となったギャラリーTEN

最終日は3回写真説明を行う盛況ぶり

 今回の「伊藤孝司 写真展 平壌の人びと」は、8月24日から9月5日までギャラリーTEN(東京都台東区)で開催された。

 主催者によると開催期間中におよそ400人が来場したとのこと。4日に全国紙朝刊で紹介されたこともあり、4日の午後、最終日の5日はさらに来場者が増え、最終日、伊藤氏の写真説明は3回実施され、多くの来場者が興味深そうに伊藤氏の話に耳を傾けながら写真を鑑賞していた。

 展示されていた写真の一部は、伊藤孝司氏のブログ(平壌日記 PYONGYANG DIARY)で見ることができる。

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