だが、これまで韓国政府がビラ散布などを「搬出」として告発したことはなく、韓国政府が何とか法律の範囲内で同行為を阻止しようと苦慮した結果とみられる。

 さらに6月11日には、韓国大統領府(青瓦台)が「北朝鮮へのビラや物品の散布を徹底的に取り締まり、違反する場合には厳正に対応する」とビラ散布に対する公式的な立場を初めて表明した。
 

南北連絡事務所の破壊を宣言

 だが、北朝鮮側はこれら韓国の対応を「後の祭り」と断じている。

 6月12日に対南関係を担当する統一戦線部のチャン・グムチョル部長は、初の談話を発表し、「韓国の大統領府に対する信頼よりも疑惑の方がさらに深まっていく」と批判的な立場を示した。
 
 韓国政府が「北朝鮮へのビラ撒きを厳しく阻止する」と表明したことに対し、「口先では大決断を下すかのように言っているが、実践は一歩も進めない相手とこれ以上向き合いたくない」と厳しい姿勢である。

 その他、「(2018年の)板門店宣言が採択されてからこれまで2年という長い時間が流れる間、(ビラ散布を禁止する)そのような法律は10回も20回も作ることができたはずだ」と述べている。

 続いて、6月13日には金与正氏が再び談話を発表し、「確実に南朝鮮(韓国)と決別するときがきた」と切り出している。

 金与正氏は、「形式に過ぎない常套句を決して信じてはならず、裏切り者とゴミどもの罪を絶対に許してはならない」として、「次の対敵行動の行使権は、我が軍隊総参謀部に移譲する考えだ」と宣言した。

 また、「近い将来、役に立たない北南共同連絡事務所が跡形もなくなる悲惨な光景を目にすることになるだろう」と警告している。

ビラ散布はきっかけに過ぎない。北朝鮮が問題視するのは韓国の対北姿勢

 北朝鮮の逆鱗に触れたのは、もちろん北朝鮮の体制を批判したビラ散布である。

 これ自体は北朝鮮側の主張にある通り、ビラ散布行為自体は南北間の合意違反であり、韓国政府はもっと早くに対応すべきであったと言える。

 だが、批判ビラはきっかけに過ぎず、根本的な問題は他にあったと考えられる。北朝鮮側の一連の批判の背景には、韓国内の世論や米国を気にして南北関係を進めようとしなかった韓国政府に対する失望、怒りがあるのではないか。

 2019年2月のハノイ会談以降、北朝鮮はこれまで、米国に追従して南北関係を進展させない韓国政府に対して警告を繰り返してきた。

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