10月11日以来の動静報道は党幹部らと三池淵への現地指導

10月11日以来の動静報道は党幹部らと三池淵への現地指導

11月16日付の労働新聞が報じた三池淵を現地指導する金正恩総書記(提供 コリアメディア)

 金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、北朝鮮北東部両江道の三池淵市の建設現場を現地指導した。11月16日、党機関紙・労働新聞などが報じた。日時は不明。

 現地指導には、趙甬元(チョ・ヨンウォン)書記、金徳訓(キム・ドックン)内閣総理、朴正天(パク・チョンチョン)書記などの党幹部が同行した。

 金正恩総書記が公の場に出てくるのは、10月11日に開催した国防発展展覧会「自衛2021」で演説して以来(同12日報道)、約1か月ぶり。

 金正恩総書記の報道を巡っては、これまでに最長で2014年9月から10月までの40日間、動静報道が途絶えたことがある。今回の不在期間は、これに次ぐものとなった。

 例のごとく、今回も動静が途絶えたことで病気説などが噂されたが、報道の写真からは、大きな変化は確認できなかった。

「革命の聖地」白頭山の麓にある三池淵

 金正恩総書記が党幹部を率いて現地指導した三池淵は、中朝国境に位置する北朝鮮最高峰・白頭山の麓にあり、北朝鮮にとって重要な場所である。

 白頭山は、故金日成(キム・イルソン)主席が率いる革命軍が抗日闘争を繰り広げた「革命の聖地」であり、金一族の「白頭山血統」の象徴にもなっている。

 今回の視察で金正恩総書記は、「革命の故郷の家が位置する太陽の聖地である三池淵市を、革命伝統教育の威力的な拠点として、文明化した山間都市の典型として立派に建設することは、偉大な首領や、その教え子である我が人民と新世代の当然な道義であり、革命的義務でもある」と述べている。

 この発言から見ても、金正恩総書記がこの地を重要視していることがわかる。

2016年から三池淵で開発事業開始

 北朝鮮ではこの重要な場所である三池淵を「山間文化都市の標準、社会主義の理想郷」とするため、2016年から再開発事業を開始した。まさに国家の一大ブロジェクトとして扱われている。

 18年頃から工事が本格化し、19年12月には第2段階となる工事が完了した。この時、現代的な住宅や施設が並ぶ新都市にリニューアルされたと報じられ、三池淵は郡から市に昇格している。

 現在は第3段階の工事が進行中であり、金正恩総書記は、その進捗状況を視察したとのことである。

 報道によると、金正恩総書記は、「三池淵市の建設過程を通じて成し遂げた成果と経験と基準は、我が党の地方建設政策を正しい方向に推進していくことができる明確な指針となる」と評価したとのことである。

1年以上完成が遅れている点について言及なし

 ただ、三池淵再開発事業は、予定より1年以上も完成が遅れている。

 金正恩総書記は2019年10月に現地を視察した際、「朝鮮労働党創建75周年(20年10月)まで」に完成するよう指示を出していた。

 そのため、今回の現地指導で金正恩総書記による叱責や指導があるかとも思われたが、記事中には工事の遅れについて言及がないどころか、逆に「意図した通り見事に進行されている」と報じられている。

 国連制裁だけでなく、昨年からのコロナ禍による国境制限の影響が深刻化しているとみられ、計画が大幅に修正されていた可能性がある。

八島 有佑
@yashiima

記事に関連のあるキーワード

おすすめの記事

こんな記事も読まれています

コメント・感想

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA