「2022年も米朝非核化協議は停滞の可能性」と指摘

「2022年も米朝非核化協議は停滞の可能性」と指摘

2021年5月25日、バイデン大統領と対北方針について協議した文在寅大統領 出典 ホワイトハウス

 韓国のシンクタンク「国立外交院外交安保研究所」(KNDA-IFANS)は、12月21日に発表した「2022国際情勢展望」の中で、2022年の米朝関係や南北関係について展望を示した。

 その中で、米朝非核化協議が進展する期待は薄く、来年も米朝間でこう着状態が続くとした一方、南北関係については、次期政権で進展する可能性があると分析している。

 レポートは、専門の研究員各人の見解であり、韓国政府の公式見解ではない。

 だが、外交安保研究所は外交省の傘下であることから、韓国政府がレポートに対してどのような認識を示すのか注目される。

「バイデン大統領の直接介入の可能性は低い」

 レポートでは、「金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に朝米対話拒否方針を撤回させ、米国内の反北感情を克服するためには、バイデン大統領が直接介入しなければならない」と指摘している。

 米朝間の実務者協議だけでは、多少の対話の機会はあっても、非核化交渉自体はこのまま停滞状態が続くというのだ。

 鍵となるのがバイデン大統領の直接介入であるが、「可能性は低い」と推測している。

 その理由として、バイデン政権にとって、優先すべきは新型コロナウイルス感染対策や、国内政治・経済への対応であって、北朝鮮問題ではない。

 北朝鮮が、核実験や長距離ミサイル発射実験のような「レッドライン」を越えない限りは、実務チームに任せてしまうというのだ。

 また、バイデン大統領は、トランプ大統領と異なり、「伝統的外交」様式に戻ったことも理由として挙げている。トランプ前大統領は、「非伝統的外交」様式でトップダウン外交を行い、金正恩総書記と個人的関係を構築したが、バイデン大統領は、この方法を踏襲することはないとしている。

北朝鮮は「対米戦略的忍耐」継続

 レポートでは、北朝鮮もまた、「対米戦略的忍耐」を継続させるとの展望を示している。

 北朝鮮としては、先行して実施した非核化措置(豊渓里核実験場閉鎖、核実験中止など)に対する米国の補償と、「新しい計算方法」の提示を要求し続けると予想。

 加えて、北朝鮮は経済制裁、自然災害、新型コロナ対応(国境封鎖)という「3重苦」を克服するために国家の総力を集中し、核武力強化も継続するとしている。

 一方、「追加で(国連)制裁を招くような強硬的な挑発には出る可能性は低い」との見方も示した。

 つまり、北朝鮮は今後も、韓国の防衛力増強と米韓同盟強化への批判攻勢を強化するものの、その行動は、米国のレッドラインをこえないものと予想している。

 このように、米朝両国が互いに主張を譲らないため、2022年も対話は平行線のまま、米朝対話は進展も悪化もしないという分析である。

韓国次期政権で南北関係が進展する可能性も

 米朝交渉の進展は困難とする一方、南北関係については、次期政権が鍵となるとの見解を示した。

 レポートは、北朝鮮が今年、韓国との関係改善を優先しなかった理由の1つに、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の任期が残りわずかであったことを挙げている。

 北朝鮮は、過去の経験から「韓国の政権初期に南北関係を発展させる必要がある」という知見を得たという。

 そのため、2022年3月の韓国大統領選挙を経て次期政権が誕生した際、「南北関係が交流や協力を中心に、少しずつ改善される可能性がある」との見解を示した。

 もちろん、新大統領が誰になるのか決まっていないので、南北関係について簡単に予測できるものではない。

 この点、レポートでは、「(韓国の)新政権が発足すれば、南北関係の象徴である(南北)連絡事務所の再設置の可否が、北朝鮮の次期(韓国)政権への態度を確認できる試金石になる」と指摘している。

 要するに、任期残りわずかの文在寅政権では、南北関係が改善する望みは薄いと判断した形である。

八島 有佑
@yashiima

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