在韓米軍も永遠に韓国にいるわけではない

在韓米軍も永遠に韓国にいるわけではない

アフガンからの米軍が撤退した途端にタリバンが権力を握った

 20年にわたりアフガニスタンに駐留してきた米軍が撤退した。その途端、首都にかつて米軍に打倒されたはずのタリバンが現れ、権力を握った。その後も混乱が続いている。

 遠い場所で起きている事態ではない。韓国にも米軍が駐屯している。しかも、過去にわかっているだけで5回、規模の縮小や完全撤退を真剣に考慮していた。在韓米軍は、永遠に韓国にいると考えるのは間違いだ

アフガン事態は特殊ケースか

 「(アフガンと)台湾、韓国、北大西洋条約機構(NATO)の間には根本的な違いがある」

 バイデン大統領は米ABC放送とのインタビューでこう明らかにし、アフガンで起きた事態は韓国などと比較にできないと強調してみせた。

 米国は、アフガニスタンで「ネーション・ビルディング(国造り)」を行いテロの根絶を図った。20年かけて1兆ドル以上の資金と多くの人命を費やしたが、結局は失敗に終わった。バイデン大統領は、アフガンは「非常に特殊な事例」だと言いたいのだろう。

 韓国内でも同じ見方が大勢だ。戦後の米韓関係を知っている外交関係者は、楽観論にクギを刺している。その1人が外交官を養成機関である「国立外交院」の洪鉉翼(ホン・ヒョンイク)院長だ。

 米韓関係の専門家である洪氏は、8月23日に韓国KBSの日曜診断という番組に登場し、「今は在韓米軍の撤退や縮小の動きはないが、可能性は常に考えておかなければならない」と語っている。

撤退考慮は過去に5回

 過去に米軍が韓国からの撤退を検討したのは、わかっているだけで5回ある。日本の敗戦に伴って米軍が韓国に進出し軍政を敷いた。第2次世界大戦以後、急速な軍隊削減と国防予算の縮小によって、地上兵力が不足となり、米国は1947年5月から在韓米軍撤収を検討した。

 1949年6月末には顧問団だけ残し、実際に米軍を撤退させた。これが翌年の朝鮮戦争を誘発したことはよく知られている。

 次は71年のこと。ニクソン大統領が、「ニクソンドクトリン」に従って米軍の再配備を進め、韓国から2師団2万人を撤収した。

 もっとも大規模に検討したのはカーター大統領だった。冷戦の終結を受けて2000年までには、在韓米軍を完全撤収する考えを発表したが、この途中で北朝鮮の核問題が起き、放棄せざるを得なくなった。

 一連の経緯は、『大統領の挫折』(有斐閣、村田晃嗣著)に詳しい。

 米国は、海外に多くの米軍を配置している。もっとも多いのが欧州の中心であるドイツで6万9000人、ついで日本に約4万人。韓国は2万8500人で3番目の多さだ。

米軍は韓国からも出ていくのか(2/2) アフガン混乱と朝鮮半島へ続く。

五味 洋治(ごみ ようじ)
1958年長野県生まれ。83年東京新聞(中日新聞東京本社)入社、政治部などを経て97年、韓国延世大学語学留学。99~2002年ソウル支局、03~06年中国総局勤務。08~09年、フルブライト交換留学生として米ジョージタウン大に客員研究員として在籍。現在、論説委員。著書に『朝鮮戦争は、なぜ終わらないか』(創元社、2017年)、『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』(文藝春秋、2018年)、『新型コロナ感染爆発と隠された中国の罪』(宝島社、2020年・高橋洋一らと共著)、近著『金正恩が表舞台から消える日: 北朝鮮 水面下の権力闘争』(平凡社、2021年)。
@speed011

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