今年9回目のミサイル実験で2021年超える

今年9回目のミサイル実験で2021年超える

2月28日付の労働新聞が掲載した偵察衛星用カメラで撮影したとする地球の写真(提供 コリアメディア)

 朝鮮労働党機関紙・労働新聞は3月6日、前日(5日)の弾道ミサイル発射について、「国家宇宙開発局と国防科学院は3月5日、偵察衛星開発計画に従って再び重要実験を行った」と報じた。

 北朝鮮のミサイル実験は今年9回目で、昨年(8回)をすでに上回った。

 北朝鮮は、2月27日に弾道ミサイル1発を発射した翌日にも「偵察衛星開発のための工程計画に基づいた重要実験を行った」と発表していた。

 今後、人工衛星打ち上げの名目で、長距離弾道ミサイルの発射を計画している可能性があるとして、注目が集まっている。

2月27日と3月5日に「重要実験」

 北朝鮮は、2月27日と3月5日に、いずれも「偵察衛星開発のための重要実験」を行ったと発表している。

 2月27日の実験では、地上の特定地域に対する垂直および傾斜撮影を行い「高分解能撮影システム」「データ電送システム」「姿勢調整装置」の特性と動作精度を確認したとした上で、朝鮮半島周辺を撮影した写真が2枚掲載されている。

 続いて、3月5日の実験については、「衛星資料送受信および制御指令システムと様々な地上衛星管制システムの信頼性を実証した」と結果を短く伝え、写真掲載はなかった。

軌道も写真も偵察衛星ではない

 国際社会が注目しているのは、一連の実験が、「本当に偵察衛星の開発なのか?」という点だ。

 北朝鮮は、これまでも“人工衛星”開発実験という名目で、事実上の弾道ミサイルとみなされる発射実験を行なってきたからだ。

 まず、韓国軍の観測によると、2月27日と3月5日の弾道ミサイルの軌道は、ほぼ同じだが、データ上は衛星軌道ではなかった。

 飛行データは中距離弾道ミサイル程度のもので、衛星打ち上げロケットとしては遅く、衛星軌道にも入っていない。軌道も今年1月30日に発射した「火星12」で使われたような、通常より発射角度を高くして、山なりに打ち上げるロフテッド軌道であった。

 また、27日の実験に際して、労働新聞が掲載した偵察衛星用カメラで撮影したとする地球の写真も偵察衛星のレベルのものではない。

 偵察衛星であれば、地上を識別できるレベルの能力が必要だが、発表にあるような高分解能撮影システムと呼べるものではなかった。

 ただ、偵察衛星の性能は、一般に公開するものではないので、あえて低解像度の写真を掲載した可能性はある。

人工衛星発射前には予告される可能性

 北朝鮮の発表通り人工衛星の開発だとしても、北朝鮮は今後どのように動くのだろうか。

 金正恩(キム・ジョンウン)体制下では、これまでの人工衛星の打ち上げに際して、国際的な手順にのっとり、発射日の数日前から1か月前には、「朝鮮宇宙空間技術委員会」が国際機関に予告している。

 たとえば、2016年2月2日に「2月8月から25日の間に打ち上げる」と発表し、6日に予定期間を変更した上で、結局、7日に「光明星4号」を発射している。

 今回も人工衛星が本当であろうとなかろうと、北朝鮮は予告した上で発射に臨むとみられる。

 北朝鮮外務省は3月4日の談話で、偵察衛星とした上で「米国の軍事的脅威を封じ込め、朝鮮半島の平和と安全を確保する」ために自衛力強化を継続すると主張している。

 米国に対抗して開発した最大級の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」が、いまだ発射実験が行われていないところ、今後の北朝鮮の軍事開発に注目が集まる。

八島 有佑
@yashiima

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