化学的去勢は2011年7月から始まる

化学的去勢は2011年7月から始まる

韓国で11年前から実施されている化学的去勢

 15日、文化放送のラジオ番組「おはよう寺ちゃん」の中で、「韓国ではこういう法律が成立したそうです。韓国の国会、性的暴行の未遂犯にも化学的去勢を可能とする法案を成立させました」と紹介した。

 韓国は性犯罪者に対して、薬物を投与して性的衝動を抑制する化学的去勢をすでに実施していた記憶がある。

 はて、その法律を今年、改正して未遂犯にも適応するようにしたのかと思い調べてみたら、どうやら、改正は2017年12月1日のようだ(2017年12月2日付の朝鮮日報より)。

 さらに番組では、「盗撮については審査で除外されたんですよ」と紹介し、コメンテーターを務めた早稲田大学の田中秀臣教授が「え?」と驚きの反応を示した。

 この盗撮を対象外にすることも2017年12月の改正で盛り込まれたものだ。

 なぜ、番組で4年以上前の改正内容を今、取り上げたのか不明であるが、改めて、韓国では、すでに11年前から性犯罪者に対して化学的去勢を実施していることを考えてみたい。

法律施行・改正後に増加する性犯罪

 この法律名は、「性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律」らしい。

 韓国が実施しているという化学的去勢とは、外科的な手術を伴わずに薬物投与で性的衝動を抑えるという説明しか見つけることができない。どの国の技術やどのくらい去勢効果があるのかもわからない。

 化学的去勢が、効果あるものであれば、法律施行後、性犯罪は減少しているはずだ。

 韓国検察庁「犯罪分析統計」の性犯罪率では、人口10万人あたりの発生件数が公開されている。

 それによると、
・2010年32.8人 性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律成立(7月)
・2011年40.2人 性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律施行(7月)
・2012年44.1人
・2013年42.5人
・2014年53.4人
・2015年58.8人
・2016年60.9人
・2017年57.3人 未遂犯へも化学的去勢を実施するように改正(12月)
・2018年63.9人
・2019年62.2人
・2020年61.9人

 まったく減っていない。むしろ、増えていることがわかる。

化学的去勢の効果はまったくない?

 では、日本はどうかと言えば、日韓で性犯罪の定義が異なっている可能性があるので、同一定義で集計している国連(dateUNODC)の性的暴力という統計を引用すると、

・2010年 韓国:36.8人 日本:6.5人
・2011年 韓国:39.1人 日本:6.3人
・2012年 韓国:39.2人 日本:6.7人
・2013年 韓国:44.3人 日本:7.1人
・2014年 韓国:41.6人 日本:6.7人
・2015年 韓国:41.9人 日本:6.2人
・2016年 韓国:43.5人 日本:5.6人(日韓差約7.8倍)
・2017年 韓国:47.2人 日本:未発表

 韓国の統計と同じく人口10万人あたりの人数となる。

 韓国と国連で人数が異なるのは、性犯罪の範囲が異なっているからとみられる。韓国は、性犯罪を国連発表の統計よりも幅広く定義している可能性がある。

 この統計をぱっと見ただけでも、韓国が実施しているという化学的去勢は、性犯罪抑止効果を発揮していないと言えるのではないだろうか。

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