Q ちなみに現在どのような新型コロナ対策を行っているのでしょうか。

 たとえば、1月という早い時期に国境線を完全封鎖し、開城連絡事務所の運営を中断して南(韓国)との接触も絶つなど、人の流入を完全にストップさせている。

 また、封鎖以前に共和国へ入国した者に対しては、各地に設けられた施設への約30日間の隔離措置を実施した。

 さらに、国内では人民にマスク使用を義務付けている。労働新聞に掲載された写真を見ると皆マスクを着用しており、マスクを着用していないと食堂にも入れないとのことである。共和国では、国家的対策のための「組織性、一致制、義務制」が人民に徹底されている。海外諸国では政府が対策のための措置を命じても違反する人が散見されるが、共和国では命令違反することはあり得ない。

 これは自由の問題と関連して批判する人がいるかもしれないが、新型コロナウイルス対策に関しては国民全員が国家の指示に従うことが重要である。それがあって初めて、国境の封鎖や隔離などが有効となる。
 

最高人民会議で外交分野に言及がなかった理由

最高人民会議で外交分野に言及がなかった理由

数百名が出席した最高人民会議(出典「コリアメディア」)

Q 最後に新型コロナウイルス関連以外で伺います。今回の最高人民会議では、李洙墉氏や李容浩前外相が解任され、金衡俊党副委員長や李善権外相が新たに国務委員会委員に選出されるなど、外交関係で人事が行われました。今回の会議では対外関係については言及がなかったですが、外交面で変化はありそうですか。

 具体的なことはまだ分からないが、外交ラインが大きく変わったという印象はある。対米交渉がこう着しているため、これまでの体制を一新しようという意図はあるかもしれない。

 また、今回の最高人民会議で対外関係が議題に上がらなかったのは、討議すべき重要テーマはあくまで「新型コロナウイルス対策」であったからだろう。そもそも、共和国側の対米交渉の方針(「次は米国がシンガポール合意に基づいて行動すべきであり、朝鮮側は妥協しない」)は昨年から変わっていないため、討議する必要性もないと言える。
 
 
康成銀朝鮮大学校朝鮮問題研究センター研究顧問
1950年大阪生まれ。1973年朝鮮大学校歴史地理学部卒業。朝鮮大学校で歴史地理学部長、図書館長、副学長、朝鮮問題研究センター・センター長を歴任。現在は同センターで研究顧問を務めている。
 

八島 有佑

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