8月30日の紙面にも「変化の兆し」

8月30日の紙面にも「変化の兆し」

李炳哲副委員長と朴奉珠副委員長の協同農場指導が1面トップを飾る9月1日付の労働新聞(提供「コリアメディア」)

8月30日の紙面にも「変化の兆し」

 北朝鮮の労働党機関紙『労働新聞』の1面トップに、金正恩朝鮮労働党委員長の動静ではなく、台風被害を視察する政権幹部の写真と記事が使われ、関心を集めているが、実は今年8月30日付の紙面にも「異変」が起きていた。

 1面上段に、経済担当の朴奉珠中央委員会副委員長と金徳訓首相が黄海南道の台風被害の現場を訪問した際の記事と写真を掲載していた。このときは、正恩氏が使う特別な用語の「指導」ではなく、「現地了解」という通常の単語が使われていたものの、「これも非常に破格で異例」との指摘が、韓国の北朝鮮専門家から出ている。

 逆に8月28日に正恩氏が黄海南道の台風被害地域を訪れたとき、「朝鮮中央通信」は「被害状況を了解した」と伝えた。指導という単語を使っておらず、憶測を呼んでいる。

 労働新聞は、北朝鮮の市民が目にするもっとも一般的な媒体だ。海外で働く北朝鮮の労働者も学習材料として読んでいる。最高指導者の写真が新聞の折り目に来ないように配慮されており、乱暴に扱うことは許されない。

首相や党幹部の記事は中面が普通

 この権威の高さから、1面には通常、正恩氏の公開活動や、最高人民会議(日本の国会に相当)常任委員長の海外歴訪などを紹介することだけに使われてきた。

 首相や党幹部の公開活動は2面や3、4面を使って公開されていた。それがいきなり、1面に昇格した。もちろん正恩氏の同意があってのことだろう。いや正恩氏がそうさせていると見ていいだろう。「独裁体制」の変化なのか、自らの健康に不安があって、部下に仕事を任せているのか、まだはっきりしない。

なぜ核・ミサイル担当幹部が現場に?

 中でも、今回破格の大きな扱いをされているのが、李炳哲氏だ。北朝鮮のミサイル開発で功績を立てたとされ、正恩氏の前でたばこを吸える親しい間柄だ。確認されていないが、正恩氏の妻、李雪主氏の父親だとの説もある。

2019年末に、軍需工業部長を経て、4月に正恩氏直属の政策決定機関である国務委員会に入り、5月には2014年以降空席だった党中央軍事委副委員長に抜擢された。トントン拍子の出世だった。

 さらに李氏は、8月13日に主宰した党中央委員会政治局会議で、金徳訓氏とともに政治局常務委員会の委員に選ばれた。常務委員は正恩氏を含め5人しかいない最高首脳だ。今後、彼が正恩氏の右腕となり、軍事力拡張路線を取るかもしれない。

 韓国では、一部で、「李炳哲が軍事クーデターを起こして成功し、労働新聞の扱いに反映された」とも伝えられているが、今のところ根拠は薄そうだ。

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